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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第1回   序、石・鉄・木野誕生
 大河兆一達が無量紫光団の一員として銀河系外へ旅立ち、七木穣次郎が地球連邦の大統領となってからもう数十年が経った。七木一族はその子孫を全地球に行き渡らせ、穣次郎もその名前だけ残った、この話はそんな七木一族の末裔の物語である。
 此処、戊野河地球では、七木全六という男と奈々美という女の間に三つ子の男児が生まれた。全六はこの三人の名前をつけるのに頭をひねっていた。
「あなたが『ろく』だから、子供には一郎・次郎・三郎をつけましょうよ」と奈々美は言う。それは全六も頷いたが、ただ一郎・次郎・三郎だけでは芸がない。何か頭に付ける字はないかと考えた全六は、それぞれの子供の顔を覗き込んだ。見ると一郎の頭はさながらダイヤモンドのように硬そうだ。芳、「石一郎」にしよう。そして次郎の手は器用そうで鋏などすぐにでも使えそうだ。よし、鋏は鉄で出来ているから、「鉄次郎」にしよう。そうなると三郎は石・鋏と来ているから、じゃんけんで言えば残りは「紙」だ。しかし「紙三郎」というのも何となくおかしいなと思ったその時、三郎がこう言った。
「ぼく三郎でーす」この天然、まさしく「パー」だ。少し字はかぶるが、三郎は「木三郎」にしようと全六は決めた。此処に、「七木一族、石・鉄・木」が完成したのだった。
 それからの三人の育ち方は、まさしく名は体を表すで、石一郎は「石頭」,鉄次郎は「器用」,そして僕三郎は「天然」、鉄次郎は石一郎に勝てない、木三郎は鉄次郎に勝てない、石一郎は木三郎に勝てないと言う、まさしくじゃんけんの「グー・チョキ・パー」の関係として育って行ったのである。

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