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何と言う・・・シャイアン 作者:七木ゆづる千鉄

最終回   シャイアンに投げられたわたし
 転校生がやって来たが、そいつは少し変わっていた。転校生紹介の挨拶の後、突然「いじめてくれ!」と叫んだ。これだけならシャイアン2号かと思えるがその後が違った。「でないと、いじめるぞ!」これはそうとウィルスに感染しているようだ。シャイアンが、「じゃあ俺をいじめてよ」と亀になると、彼はシャイアンを猛烈に殴り始めた。そしてすぐに疲れてその場にうずくまる、シャイアンの「はっ!」との気合にすぐ目を覚まし又殴り、又倒れて気合を受ける、そんなことを何回か繰り返しているうちに彼の体が変化した。ひょっとしてこれは人間じゃない?誰もがそう思ったとき、シャイアンが彼を一本背負いで投げた!シャイアンが直接他人に攻撃したのはこれが初めてだ。すると彼の身体が人間に戻った。そしてその時、天から声がした。
「この人間これ以上此処にいる事能わず。別の世界へ行くべし」この後彼はその場から消えた。一体何処に言ったのかって?此処だよ此処。そう、今この小説を書いているわたし(作者)だ。今まで人をおちょくったことも、おちょくられることもあったわたしだが、不思議と殴る殴られることになると何故か殴られるほうに回っていた。それが何故なのか今までは解らなかったけれど、ある時前回り受身で背中から落ちたとき、シャイアンに投げられた一本背負いを直感した。そうか、そうだったのか。わたしはシャイアン程いじめさせることに慣れてはいない。しかしいじめられているとき、「この役は自分で抱えて置こう」と強く思っていた。いじめさせっ子、そんな立場を作り事と思う人は思ってもいい、しかしそれに近い男が此処にいることだけはしっかりと思って欲しい。
    七木ゆづる千鉄・筆

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Novel Editor by BS CGI Rental
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