彼方此方の「いじめ問題」を解決して、シャイアン達はもう六年生になっていた。これまでのシャイアン達をを見ていたのは、いじめ対策委員会だけではない。それとは間逆の、いじめを生む原因になっているウィルスのような「影」もそうだった。井頭小学校のいつものいじめさせが、今日は全く違った方向へと変化していく。それに対するシャイアンの取った行動とは?・・・今日は注目の一日である。 「田中君、今日もよろしくね」 「全く、シャイアンも人が悪いんだから、行くよ」といつも通りのやり取りから始まったいじめさせだが、しばらくして田中君の様子が一変した。 「この、この野郎!やっつけてやる。何処までも何処までもやっつけてやる!」それを見ていたオネ夫が田中君の「影」が変化しているのを見つけて、 「この『影』、一体なんだ?」と言うと、「影」は田中君から抜けて、オネ夫に取り付こうとした。しかしその途端、激しい断末魔の声がクラス中に響き渡り、『影』は見たことも無い黒い生き物へと変わった。生き物はそんな自分に気付くと、 「や、やっつけてくれ。誰かあいつをやっつけてくれ」とシャイアンに向かって叫んだ。するとシャイアンが、 「君がやれよ」と一言。生き物は、 「僕には出来ない。ぼ、僕には出来ないよー!」と泣き叫び、その場にうずくまってしまった。 「あなた一体何者なの?どうしてシャイアンをそこまで付け狙ったの?」とともえちゃんが聞くと、生き物は自分の過去を語り始めた。
自分は遠い星で生まれ、そこでずっと誰かにいじめられていた。その度にいじめを恨み、その星から地球まで来る宇宙船に乗って、ただひたすらいじめの復讐をするんだとの一念で此処まで辿り着いた。そこで見たのがシャイアンだった。十分強いのに、敢えていじめを受けると言う「いじめさせっ子」なんていうものがあるなんて信じられない。何とか化けの皮を剥がそうとしていたら、何とこっちの化けの皮が剥がされた。一体これからどうしたら良いのか。うなだれている彼にシャイアンは、 「母ちゃんに会って、これからのことを考えようよ」と彼を「柔田柔術教室」に連れて行くことにした。
柔は彼を見るなり一言こう言った。 「あんたは強い。ただその強さを今まで間違った方向に使っていたわね」 「ぼ、僕が強いって言うんですか?」彼は相当驚いたようだ。 「でなかったら今まで、地球上にいじめの波を起こしてはいないわよ。ほんと、すごいエネルギーだわ」そして柔は自分の柔術の技を全て伝授して、 「これからはあんたもいじめさせっ子だよ!」と彼を送り出した。それから彼が何処へ行ったか、自分の星に帰ったか、地球に残ったかは解らないが、何処へ行っても新たないじめさせっ子となって、攻撃してくる奴等には「気絶」を、悩めるいじめっ子には「救い」を与えてくれるに違いない。
これでこの小説が終わったと思う人達、実はもう一話ある。次回・最終回をお楽しみに。
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