■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

何と言う・・・シャイアン 作者:七木ゆづる千鉄

第1回   柔田一族の末裔・柔田柔三ことシャイアン
 此処に、一つの呪われた一族がある。柔術使いの大家で、何万の人々を殺戮してきた、何とも凄まじい一族だ。
 代々、その一族は中心に王を掲げ、王は一族の誰かに無理な命令を出しては人々を苦しめていた。
 しかし、その悪業を打ち消そうとその一族の中にいる一人の男が他の者たちに反旗を翻した。それも王の位も取れるくらい地位が高い男が。
「お前たちのやっていることは、人間のすることじゃない!鬼のすることだ。そういう俺も鬼、しかし俺は悪鬼ではなく、善鬼としてお前達に鉄槌を喰らわす!」そう言った男には妻と息子がいた。名前は柔田哲三。妻の名は柔(やわら)、息子の名は柔三と言う。柔は見た感じ悪女、柔三はまだ赤子で、その顔には純粋無垢な優しい人柄の感じが溢れていた。
 哲三は柔にこう言って聞かせた。
「柔、お前は見た感じ悪女だが、心の中はどんな聖女より聖女なことは十分解っている。俺はこれから残りの奴と共に果てるだろう。だけど残ったお前や柔三に俺達の業が降りかかるだろう。だから柔三を十分鍛えて、その上でいじめさせっ子になるようにしてくれ」
「解ったわよ、本当にあんたって人は馬鹿なんだから。心配すんな。この子はあんたみたいには育てないから。その、いじめさせっ子にでも何でも成らせるわよ」
悪女っぽく答えた柔の手が震えていた。心が泣いていたのである。
そして哲三は闘いの場へと言った。柔は「・・・行かないで・・・」の言葉を噛み殺して柔三を連れてその場を逃げ、見知らぬ土地へ移り住み、其処で柔術教室を構えた。その後育った柔三は、哲三の言った通りいじめさせっ子となるのである。皆からシャイアンと言うあだ名で呼ばれながら。この話はシャイアンこと柔田柔三が「いじめさせっ子」として周りの人々と関わって行き、いじめてくる相手を変えて行くと言う話である。

次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections