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此処に兆一・命動章 作者:七木ゆづる千鉄

第8回   退行戦前夜
 笙子も加わり、始太郎・穣次郎の鍛錬も終わった応援団一同、遂に来る対抗戦の為に茂野河地球に戻る事になった。
「じゃあ、飛ぶ先は丸打峠にしようか」と兆一。皆が「何故?」と聞いたその疑問に答えたのはヨロズだった。
「行けば解るよ。丸打も君達が飛んでいる間にガラッと変わったから」
 そして全員で天通拍手をして、一行は丸打峠へと辿り着いた。其処で見たものは、大きくなった丸打駅と、一面に広がる大きなスポーツ施設だった。
「これからの対抗戦は、此処で行う事になるんだよ。先ずその最初にする野球、それが山と河をつなげる為の戦いになるんだ」
 山と河をつなげる為の戦い、それが元山と茂野河との野球となる。
「あれ?そういえばうちには野球部なんて無かったぞ?」
「そう、だから俺達応援団で野球チームを作って、伍四郎たちが作った元山野球部と勝負するんだ」
「勝負って、勝つためか?」
「いや、負けない為だ。俺たち茂野河も、伍四郎・球八たち元山もどっちも負けない為に戦うんだ」
「試合に出る人間は決まっているのか?兆一」
「はいテンさん。テンさんと始太郎・穣次郎、それにジュンとコーちゃんはスタンドで、後はグランドで試合に臨みます」
 となると茂野河川の人間は九人ギリギリ。京と笙子はマネージャー・コーチャーとして参加する事になる。ポジションはどうするか?それは今夜億次郎と兆一で相談して決める事になるだろう。

 夜、団員一同はかつて億次郎・京が住んでいた旧大河家に泊まっている。他の皆が眠りに就いている頃、億次郎と兆一は誰を何処のポジションにするかを相談していた。
「先ず、バッテリーはお前と俺の二人。どっちが投げるでも捕るでもな」
「それじゃあ内野はどうする?一塁は劫太郎で決まりだろうが」
「ああ、そして三塁は善三郎。遊撃手はタクさん。二塁はミンさんで決まり、と」
「後は外野か、センターはチュンさんだろう。後ハンさんと寛のどっちをどっちにするかだが・・・」
「三塁で刺すことを考えたら、ハンさんがライトだな。という事で寛はレフと、と」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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