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此処に兆一・命動章 作者:七木ゆづる千鉄

第6回   金銀ガンダと紫ガンダの対決前哨戦
 茂野河号は次なる地球を目指してその飛行を続けている。兆一と億次郎はガンダ化したままだが、京と笙子がそれに何か突っ込みを入れたがっているようだ。二人は順子にどう言ったら良いかこっそり聞いて、
「いいかげん、二人ともいきがるのは止めてよ!此処でそんな対決のポーズをとっていても意味ないじゃない!」と叫んだ。
「別に、対決のポーズをとっているだけな訳じゃないんだ」と兆一。「億次郎と違って、俺は一人ですぐ変身出来る訳じゃないしね」
「あれ?なんか変?」と言ったのは笙子。「この近くで宇宙人同士で争っているみたい。このままだとどっちかが、それとも両方とも消えちゃいそう」
「よし、そんな時こそ俺達の出番だ!」と億次郎と兆一。背中合わせに飛び出し、一瞬姿が消えたと思ったら、正反対の遥か彼方からその争いの場に現れ、UFO同士の攻撃を防ぎ、両方を和解させた。その上で「お前は何者だ?」と互いを指差し、「ガンダだ」と一言。黄金と青、どっちが本物だと睨みあった後、それぞれもと来た方へ戻って行った。其の際に茂野河号に居た皆に一言、「基地に成る地球を見つけたぞ」と言い残した。これから山組と河組は別々の所に行くことになるようだ。
「だけどどうすんだ?同じ船で行ったらバレバレだぞ」と漏らしたのは中と億次郎である。それに答えたのは天河と明・寛の三人。京と笙子に左場読み切り、天通拍手をするように命じた。
 先ず京が左場読み切り、茂野河号は間が霧にかかったような二つのくっ付いた船となった。
 其処へ笙子の天通拍手、二つの船は完全に切れて離れた。茂野河号が二つに分裂したのである。色は片や金銀色、片や紫色どっちにどっちの組が乗るかはもう言うまでもないが、ここで疑問が一つ出た。何故黄金色の兆一が乗る山組の船の色が金「銀」色なのか?
「それはこう」と、兆一は笙子に定の不定をやらせて、其処で自ら天通拍手。拍手の響きが終わった後、其処に現れたのは、何と白銀色のガンダ。
「え?ボクが白銀色のガンダなの?」これは笙子の声だ。山組は黄金・白銀の色で通していく事になりそうだ。
 一方、紫色の船に乗る億次郎は青色のガンダ。赤は何処に居るのか?
「それは俺と京の瞳の奥だ」と億次郎。見ると二人の瞳の奥には赤色のガンダが居る。これは戊野河の零子だ。
「俺達は、親子三人で紫のガンダを名乗って行くんだ」しかし億次郎は兎も角、京の母親が零子で良いのか?
「それは構わないでしょう」と垓和。京の母親は「地球」そのもの。その地球が億次郎にとっては零子なのだから、二人の母親は零子に間違いはない、と言うことだ。
 隠して「金銀茂野河号」と「紫茂野河号」に分かれた茂野河応援団は、それぞれ基地となる地球を目指して船を進め始めた。それぞれ何処で何が待っているのか?それは今も運動しているヨロズ任せだろう。
「後、俺も居るぞ。」そうそう億太郎も居た。宇宙の「黒」と化した億太郎なら、様々なときに茂野河応援団の「影」となることは十分可能である。さて、最初にそれぞれが出逢った者達とは・・・。

・山組の場合
一同が降り立った基地は、何処までも黄色い砂塵が吹いて止まらない所だった。やがて一同は黄色い水がとうとうと流れている河に出合った。
「此処は、黄河だ」と兆一は言う。 山組の基地が「河」とは、何とも言えないもんだなあと言ったのは遥である。
「そうです、ハンさん。おそらくは河組のほうもそうなるでしょう」兆一のこの言葉が終わると同時に「客人」は来た。
「こんな所にガンダ様が居るとは、我々は何てついているんだ」見るとその集団の長らしき人物は男、どうやらこの地にも次から次へと銀河系外宇宙人が来るらしく、皆その対処に苦しんでいるようだった。
 兆一は始太郎に目で合図をして、始太郎は半分恐怖を噛み殺しながら、
「我々、黄金のガンダが着たからにはもう心配は無用です。ドーンと大船に乗ったつもりで居て下さい」と何とか一言を言い切った。そして兆一の、
「じゃあ、皆行こうか」この一言と共に遥・明・劫太郎・寛・広美・笙子が始太郎と兆一の後を追いかけた。其処に待っている宇宙人が、実は河組とも関係している事など、まだ誰も知らずにいたが・・・。

・河組の場合
一同が降り立った場所は、何処までも広がる青々とした樹木のある山脈だった。紫茂野河号はその中央付近に降り立った。
「此処は、青山だ」と億次郎は言う。河組の基地が「山」とは、兆一達山組とまるで好対照、何ともはやである。
「わ!こんな所にガンダが来やがった。私達は何てついてないんだ」と、言って来たのはどうやら銀河系外宇宙人らしい女長。言葉は億次郎のガンダ石にヨロズ・億太郎が協力して聞こえる様にした。そして女長はその場から消えるように去った。どうやら地球人に何かをしようとして、億次郎達ガンダにその邪魔をさせないように隠れたのだろうが、天河の目はごまかせない。卓・中・善三郎・順子・京達がすぐに億次郎と穣次郎・天河のその後を追った。そこで山組との戦いがあるとまでは解りはしなかったが・・・。

 河組がUFOの後を追いかけて向かった先は、さっき笙子が宇宙人同士の対決があると言った所だった。その片割れに居た人物に河組一同が驚いた。何と伍四郎である。どうやら伍四郎の居る宇宙人グループは地球人に益を為す物達で、追い掛けていた宇宙人はそれに敵対する一団のようだ。そこで億次郎は穣次郎に「宣伝しろ」と一言。そして穣次郎が「我等こそ紫ガンダ一団だ」と言おうとしたその時、山組の金銀茂野河号がやって来た。先頭にはもう始太郎が立っている。
「我等こそ、金銀ガンダ一団だ。ガンダの故郷と言えば茂野河地球の丸打峠、ガンダは地球の民の味方だ。どうやら其処の宇宙人団二つの片割れには、丸打と縁のある元山の男が居るようだから、我々はその味方をする」始太郎は、口調こそ少し頼りなさげだが、その場の状況をすぐ把握して此処までの長台詞を言い上げたに違いない。
 そこで億次郎は穣次郎に「何か対抗することを言え」と言った。そこで穣次郎は、
「其処のガンダは偽者だ!ガンダと言えば青と赤、混じって紫に決まっている!だが地球人の味方だという所は同じ、だから我々も偽者と同じ方の味方をする」肉体派でも言える台詞である。
 これを聞いて驚いたのは先ほどの女長率いる地球人に敵対する宇宙人の一団、UFOから様々な大砲を打って攻めて来たが、ガンダにはそんなものは通用しない。紫・金銀とも分身ガンダを次から次へと発して攻撃を防いだ。堪らなくなった相手は空間を飛んで遠くへ逃げようとしたが、兆一の「無打」でそれをさせずに、奴等をそのままその場に残した。
「さて、これからどんなお仕置きをしてくれようか」指を鳴らしながら奴等に近づく億次郎、
「ちょっと待て、これだけやっとけば十分だろう?」とそれを制した兆一、始太郎・穣次郎は、「♪我こそ本物」と囃子立て始め、笙子・京・天河・明・寛以外の面々はその囃子に乗って踊り始めた。遂に金銀・紫の激突なるか?という所で垓和の垓通拍手。戦いは一時延期となった。其処で垓和が何か伍四郎に話し掛けている。
「河山君、今の一部始終は、ちゃんと銀河系中に流したかね?」
「はい、それは勿論です」
 次の戦いは、もっと本格的に全銀河系中に流れる事になるだろう。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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