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此処に兆一・命動章 作者:七木ゆづる千鉄

第5回   黄金色のガンダ登場?始太郎と穣次郎の特訓開始
 遂に笙子が茂野河応援団に加わった。そこで天河の一言、
「今度は、来る対抗戦に備えての一年二人、始太郎と穣次郎の鍛え上げだな」
 具体的にどうするのか?それをこれから億次郎と兆一・京と笙子が実現するという。
 先ず、応援団全体を「山」組と「河」組に分け、始太郎は「山」に、穣次郎は「河」に入れるという。そして億次郎がオリジナル・ガンダに変身、兆一はどうするか?誰もがそう思ったとき、兆一は笙子にこんな言葉をかけた。
「笙子、お前は自分の『力』を解っているか?」
「え?お兄ちゃん、それ一体どういうこと?」
「お前が自分のことを『消子』だと思ってたとき、消したと思っていた奴等が居ただろう?」
 兆一は、実はこうだと言って笙子に不定の定の印を結ばせて、その穴から笙子に「真実」を見させた。
「あれ?あんなちっちゃい空間に奴等が皆居る!」
「そう、あの空間はお前が作ったものだ。お前の力は、消す事ではなくて生み出すことなんだ。名前にもあるだろう?お前の名前の笙は竹冠に、生む。なあ?」
 その後、全員でその空間を見た。其処に現れたのは無量紫光団の団長。
「茂野河応援団の皆、有難う。こいつ等は我々が処理するから、後の事は任せてくれ」
 そして奴等の断末魔の声とともに、その空間は消えた。
「さて、と」兆一は話を元に戻した。ガンダ石を自らの額に当て、そこで「定の不定」、兆一の姿は金色の霧のようになった。
「よし。笙子、天通拍手をしてくれ」
 兆一の言葉に従って笙子が放った天通拍手、その音の響きが消えた後、一同は驚きの光景を目の当たりにする。
 何と、其処には黄金色のガンダが姿を現せていた。これには億次郎もビックリ、
「お前、兆一なのか?」
「そうだ、億次郎。『山』組は黄金のガンダ、『河』組は青のガンダとして、これから銀河を駆け巡るんだ!」
「兆一、なんでわざわざそんな事をする必要があるんだ!」と聞いた遥に、
「ハンさん、最初に言ったでしょう?これは茂野河応援団の一年、七木始太郎と七木穣次郎を鍛えるためだって。始太郎は黄金のガンダ、穣次郎は青のガンダの宣伝マンをするんです」
 調子者の自分には臆病で頭脳派の始太郎、臆病者の億次郎には調子者で肉体派の穣次郎をあてがうというわけだ。
「他に皆にも役はありますよ。それぞれのガンダの応援者として、頑張って貰います。『河』組のテンさんは思慮深い、その代わり『山』組にはミンさんと寛が居ますから、頭としても五部と五部、この二つを敢えてライバルとしてぶつけ合うんです」
 丸打に行った人々に「ガンダの呪い」の話をして、既に七地球では当たり前に成っているから、人々はそれを信じ込む、銀河系外宇宙人はそれを逆利用しようとする、そんな人々の思惑を利用しての今回の演技、という訳だ。演技だから、皆の扮装もそれなりに必要だけど、京と笙子だけはそのままで良いという。
「じゃあ、此処でちょっと予行演習をしてみようか」と兆一。此処で億次郎と何か話し合って、それぞれ始太郎・穣次郎を自分の前に立たせて、俺達の宣伝をしろと言った。それに対して二人は、
「(二人)此処にいる方こそ、正真正銘のオリジナル・ガンダだ。(始太郎)黄金色のガンダは、(穣次郎)青色のガンダは、(二人)茂野河地球・丸打峠生まれだ」始太郎の口調は弱弱しく、穣次郎の口調は自信に満ちている。そして続いて億次郎・兆一が二人の宣伝の後に乗った。
「(兆一)こいつの口調が弱いのは、(億次郎)こいつの口調が強いのは、(二人)俺達の存在が(兆一)強すぎる所為だな(億次郎)弱い所為かもな」この言葉に思わず口をはさんだ京と笙子。
「(二人)お兄ちゃん!(笙子)偽者なのに威張らないで!(京)本物なのになんでそんな弱い事を言うの!」
 暫く一同の間に沈黙が走った。そして億次郎・兆一の二人が「な、これで良いんだ」と一言。自分達のキャラをそのまま生かせば山組にしても河組にしても自然と方向は決まるのだ、と言った。
 これから、茂野河応援団による、銀河を又に掛けた一世一代の大芝居が始まろうとしている。それに乗るもの、引っ掛かるものがどれだけ出てくるか?始太郎は恐怖し、穣次郎は楽しみにしている。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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