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此処に兆一・命動章 作者:七木ゆづる千鉄

第2回   ヨロズの運動しくじりかけ、笙子の錯覚、茂野河応援団のこれからの行先
 零子は、万和と笙子の身に起こったことを語り始めた。
「この宇宙には、よっちゃんの正体をしっている奴等もいるのよ」そう、茂野河地球人・小山万和がヨロズの元だと知っている銀河系外宇宙人もいて、銀河系の無限遠点が開放されたあのとき、そう、茂野河応援団が戊野河に辿り着いたその直後に、Kの偽者を近づけて自分達の意のままに操れる人間もどきを作ろうと図ったのだ。笙子も言っていたとおり、運動を始めたばかりのヨロズ=万和は危うくその企みに飲まれそうになった。
 其処を止めたのが笙子である。そのもどきと自分とを入れ替えて、奴等の企みからヨロズを守ったのだ。
 しかし、その際自分の記憶も入れ替わって、自分がそのもどきだと思い込んで奴等の監視下この銀河系の何処かにいるという。
「そんな笙子を救えるのはあんた達しかいないんだよ」零子はそう話を締めくくった。
「笙子はどうやって其処まで行ったんですか?」兆一の言葉に、
「あんた達が前此処に残した、ミニ茂野河号よ。あと自分のガンダ石も使っただろうね」と零子。此処に笙子探しの旅は、笙子救出の旅へと変わったのである。

 戊野河駅を出発して、七地球循環線を山の方へと走る茂野河号、此処で劫太郎から疑問が出た。
「テンさん、これから五つの地球を回って探すんですか?だったらこのガンダ石を使って億次郎の娘達に聞けば良いんじゃないかと思うんですが・・・」
 これに対しての天河の返事は「否」。確かに銀河系には七つの地球が見つかっている。しかしそれだけではない、皆がまだ知らない地球が存在しているという。多野河で地球発信をしていたのは自分達だけじゃない、他にもいたというのだ。
「それを巡るために、今回は列車じゃなくこの茂野河号を使っているんだよな、兆一」
「そうですテンさん、其処に良く為にはこの前戊野河に辿り着く時に通った、銀河系の無限遠点にいく必要があるんです」これから線路が走る山、外山(とやま)をくぐり抜けた時其処に辿り着くという。実際そうなったとき、天河・明・寛・兆一・億次郎・京を除く全員が「あっ!」と驚いた。自分達が乱れていたあの時通った光景が、そのまま残っていたのである。しかし今回は鉄球から何の質問もない。
「ちょっと行って来ます」と億次郎がオリジナル・ガンダに変身して鉄球の中へと飛んで行った。他の皆はガンダ石を通して億次郎の見聞したことを感じ取る。そこで一同が知ったこととは・・・。

 鉄球の中には、無量紫光団の団長と、伍四郎・球八がいた。
「おう、億次郎。そんな姿で来れるなんて、お前もすごい力を手に入れたなあ」
「それより俺が驚いたのはお前達二人のほうだよ。伍四郎、お前達は元山からどうやって此処まで来れたんだ?」
「それにはあっしがこたえさせて頂きやんす。元山は、ここにいる団長さん率いる無量紫光団と協定を結んで、こちらの宇宙船を借りているんでやんす」
「球八君、あまりそれを公言しては困る。まあ億次郎君たち茂野河応援団だったらもう構わないがね」
「そうか」億次郎はニヤリとして、
「お前達元山は、此処から彼方此方へ行って、来たる対抗戦の人材を集めようという訳だな。俺達茂野河は、人材を育てることにする」又途中で出くわしたら、それなりの対応をしようと、億次郎は鉄球から出て茂野河号に戻った。ものかわごうで待っていた全員は、億次郎に「頑張ろう」と確認。そして中と劫太郎が一言こう言った。
「よしこれから出発だぁ!って何処へ行けば良いんだ?」
 これには他の全員がこけた。
「兆一、一体何処へ行けば良いんだ?」と天河が聞いた。兆一の返事は、
「七地球循環線の中心、そう、前京が乱れた時に行ったあの場所です。あそこにはかつての多野河の名残が残っています。あそこからまだ僕達が知らない地球を目指すのです」
 これから、茂野河応援団は銀河系外宇宙人もいる星を巡る。いつ笙子と会えるか、それはみんなの「命」から発する「運」がその鍵を握っている。そしてヨロズは、今何処を運動しているか?

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Novel Editor by BS CGI Rental
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