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此処に兆一・激動章 作者:七木ゆづる千鉄

第6回   「北夷」と「南蘭」・二つの島の違いと家康の感想、そして零子が起こした新たな日食
 日食後の多野河は、河の流れが今までより激しくなっていた。黄色い水がより山を削り、中州に黄色い砂を残し、垓乃島がある海はその色をいっそう濃くしていた。
「これは、時間が経ってきてこの地球の年齢が進み始めたと見て良いんじゃないか?」と兆一が一言、そして頷く一同。その中で億次郎が辛そうな表情でじっと立っている。兆一が「言いたかったら言えよ」と呟くが、「まだ大丈夫だ」との返事。そうこうしている内に南蘭島と北夷島からの知らせが届いた。家康の見聞を高めるため、茂野河応援団の力を借りたいと、兼ねてからの約束を催促してきた。そして億次郎と兆一は南蘭島へそれぞれの分身ガンダに掴まって、その他の団員は北夷島へ茂野河号に乗り込んで元島を後にした。後に残ったマネージャー三人、話し合いの結果、龍馬は順子が、継乃助は広美がそれぞれ担当して、残った京は垓乃島の謎の男との交信を引き受けることとなった。

 さて、南蘭島に向かった億次郎と兆一は、流れが急になった多野河の流れが気になっていた。これは、奴ら・Ray-O-Yellowの行動が活発になった所為じゃないか?二人の家康がこれに何か影響してしまわないと良いんだがなあ・・・、そう思っているとそこでヨロズの声がした。
「そうじゃない、むしろどんどん影響して貰った方が良いんだ」
「どういう事だ親父、腐黄色者が絡んだら、地球は良くない方向へ向かってしまうんじゃないか?」兆一のこの問い掛けに、ヨロズは「時が来れば解る」と一言。それ以上は何も語らない。一体どういう事なんだ?と頭をひねる兆一に、億次郎が「着いたぞ」と声をかけた。南蘭島の人達が二人に向かって手を振っている。一体何語を話しているのか億次郎には解らないようで、兆一に「困った」と顔で合図をした。すると兆一は何かを話した。億次郎には「これはオランダ語に似た別の言語だぞ」と一言、それからは億次郎にはガンダ石を通して相手の言いたいことを伝えるという。そして億次郎は家康にガンダ石を渡して聞いたことを伝えることにした。これで誰がどう言っているのか解らないという事態は解消された。そこで家康がこう言った。
「何とも『蘭』とはおおらかなものじゃな」

 一方、北夷島へ辿り着いた茂野河号は、険しい顔をした男達に出迎えられた。そこで一同が見たものは、何かヘッドフォンのような機械だった。「これを全員身に付けて欲しい」と頼まれ、付けてみるとそれまで片言しか解らなかった男達の言葉が、完全に解るようになった。どうやらこれは言語自動翻訳機のようだ。その後言われたことは、何処に行っても決して家康を船から外に出さないようにというものだった。街の中を移動する際も茂野河号の大きさを小さくして人々の目に入らないようにとも。南蘭島と比べると何とも厳しいものである。すると、こちらの家康はこう言った。
「何とも『夷』とは窮屈なものじゃな」

 これを見ていたRay-O-Yellowの奴らは、「山」と「海」、二人の家康を逢わせて、その思考を混乱させようと考えた。幸い雨のお陰で自分達の入れるところは格段に増えた、仕掛ければ直ぐ結果は出てくる、とほくそ笑んだその時、突然日食が起こり始めた。
「れ、零子様が又我々を邪魔してしまった!一体どうすれば解って貰えるのだ?」そう、零子はこの多野河地球の日食を操る力を持っているのである。

 その暫く前、京は「男」と話をしようとしていた。しかし男は、
「私に君達と話をする資格はない。そんな資格は」の一点張り。そんな時、広美と順子が困り果てた顔で戻って来た。そこに付いてきたのは・・・。

 零子の行動に気付いた億次郎と兆一、気付いていない応援団の他の団員が乗る茂野河号は急ぎ家康を北夷島と南蘭島に返して元島に帰った。すると其処には、何と坂本龍馬と河合継乃助がいた。広美と順子がどうして良いか解らないと、京の意見を聞きに来たその後で日食が来たのだ。この後全員で話し合った結果、この日食が終わった後、それぞれの持っている情報を全て開示して今後の行動を決定することとなった。そこで億次郎が兆一に夢の中に連れて行くと言った。兆一はそれじゃあ京も一緒に連れて行った方が良いだろうと返事をして、億次郎も頷いた。京は自分が行って良いものか悪いものか悩んでいるようだが、この後の夢の中で三人は「あっ!」と驚く光景を目の当たりにする。それは・・・。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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