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此処に兆一・始動章 作者:七木ゆづる千鉄

最終回   そして、始まりへ
 オリエンテーションは終了して、一年生達は口々に「有り難うございます!」と感動・感謝の言葉を残し、体育館から去っていった。しかし一人だけ体育館から出ない者がいた。京は「天通拍手」で力を使い果たし、眠るように気を失っていた。応援団の面々は、そんな京に寄り添って、「頑張ってくれて有り難う」とそれぞれがガンダ石を通してねぎらいの言葉を語っていた。そこに、
「よく頑張ってくれました。これでこちらも動き出せます」との声。それは伍四郎だった。「動き出せる」とは、一体どういうことなのか?伍四郎は応援団全員と京を丸打峠の「ガンダの祠」に連れて行くという。それを聞いた天河は兆一と億次郎にどうするかを聞いてきた。二人は同時に「行きましょう」と返答した。そして全員で(何と伍四郎も?)「天通拍手」、祠へとたどり着くと、そこには何ともうさんくさい風体の連中が陣取っていた。
「お頭、お待ちしていました。おお、茂野河応援団の方々もご一緒ですか。と言うことはやっと取りかかれるんですね」こいつ等は一体何者だ?そんな疑問に伍四郎こうが答えた。
「俺達は元山開拓団、皆見たところ山賊のように見えるけれど、実は此処丸打峠の発掘・防衛を生業としているんだ」何でも億太郎・万和の依頼でこの丸打峠の大工事を始めているという。応援団一同はそれを確かめようと万和へと心の声を送ったが、そこで驚愕の事実を知ることになる。万和は茂野河のことが全て片づいた今、遂にヨロズに立ち向かおうと自ら開発した「超人間発生装置」に入りそのスイッチをオンにしていたのだ。その場所は何と、ガンダの祠の奥。此処から目と鼻の先である。
「な・・・何で万和さんが今になって行動を起こすんだ?もう全て解決したのに」そう叫んだ応援団の面々に、
「いいえ、全て解決したから『次』へ行く準備をしたんです」と答えた京。それに億次郎・兆一も頷いた。
「次へ行くために、みんなここで少し準備をしましょう。先ず、これから祠の中に飛び込むための船を造るんですが、それはあの木を使ってやります」と兆一は茂野河高校がある中州に生えている木を持ってくるように億次郎に頼んだ。そしてこれから造る船が、その名は「茂野河号」、これからこの物語の中核となるのである。

 それを見ながら今ヨロズに立ち向かおうとしている万和は、この先の展開を唯一知っている億太郎に向かってこう言った。
「あいつ等がちゃんとやっていけるように頼んだぞ。俺はこれから自分を試す。よし、行くぞ!」
 そうするとヨロズがこう返して来た。
「待っていたぞ万和。遂にこの時が来たな」
 万和がこの後体験する「事実」とは一体どういうものなのだろうか?

 そして船造りにいそしんでいる応援団一同の中、億次郎が伍四郎に呼ばれ、皆と離れた場所で赤い石を貰った。これは、まさかガンダ石?しかし赤色のものなんて・・・。そして伍四郎がこう一言を添えた。
「これは億太郎さんから預かっていたんだ。・・・お前の母さんのことがこの石には込められている。皆に教えるかどうかはお前に任せるが、どっちにしてもよく考えてくれ」
 この後億次郎は、そして応援団一同は一体どうなっていくのか?

 次章「激動賞」を待て!

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Novel Editor by BS CGI Rental
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