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ミヤギ 作者:清夏

第7回   最低な結論
「いや、なんだか確かめたくなって」
 さすがにきまりが悪くなったのか、宮城は背を向けた。
「何をだよ」
「お前の体とオレの体の違いを」
「バカだな、お前。もしかしなくても」
「ホントにバカだわ。見比べてたら、なんだか泣けてきた」
 宮城は、自分のシャツのボタンをかけながら、弱々しく笑った。
 俺も、必死でボタンを止めて、ファスナーを上げて、ベルトを締めた。
 一体どこまで見比べたのか知らんが、ムカつく。
「なあ、フジシロって、やっぱり」
「なんだよ」
「色素薄いんだな」
「死ね」



「なあ、フジシロ」
「うるさい」
 まだ俺の体について何か言いたいことがあるのか。俺は拒絶した。
「あの、お前のカノジョのことだけど」
 宮城は口に上らせたのは、俺がとうに忘れかけていたことだった。
 俺ってホントに、冷たい。
「あいつ『プラトニックでいいわ』なんて言ったか?」
 俺はわざと嫌なヤツになった。
「それは言わなかった」
 宮城は、ほっとしたような顔で薄く笑った。
 こんな表情もするのだと、俺はなぜだか感心した。






「宮城」
「なんだ?」
「お前、なんで女と付き合うんだ?」
 俺は、ずっと疑問に感じていたことを口にした。
「女なのに、って言いたいのか?」
 あ、怒った。
「いや、好きでもない女とどうして付き合うんだ?」
 俺には、つきあった女の誰かを、宮城が好きだったことがあるとは思えなかった。ただ、女でさえあればいいような付き合い方だった。
 宮城が俺の顔をじっと見る。
「じゃあ、フジシロ。お前は好きな女と付き合ってるのか?」
「いや」
 墓穴だ。だが、俺のことは、とりあえずどうでもいい。
「それは置いとけ」
「仕方ねえな」
 宮城は、ニヤリとしやがった。
 俺は、溜息をひとつおとして、あらためて話を元に戻した。
「お前、女と付き合わなきゃならねえって、無理してる感じがするんだけどな」
 だからと言って、男と付き合えと言うつもりはないぞ。と、付け加えておく。
「男にもいろいろある。俺みたいに、好きでもない女と付き合う男もいるし、好きな女としか付き合わない男もいる。お前は、人から男だと思われたくて、女と付き合おうとしているだけにしか見えない」
 俺が長々そんな勝手なことを言っている間、宮城はずっと黙ってそれを聞いていた。気味が悪い。
 宮城は、何か考えていた。考え、考えて、ようやく顔を上げた。
「俺は確かに男なのに、何が男なのか、自信がなくなるときがある。そういう時に、女と付き合いたくなる」

 最低だな。お前も俺も。
 俺がそう言ったのか、宮城がそう行ったのか。そういう結論になった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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