宮城が泣いている声を聴いたような気がした。きっと、夢だ。 だって、宮城は泣かない。 あれは、逆境にめげない、強い男なのだ。 「なんでだ」 夢の中の宮城は、泣きながら、俺に訴えた。 「なにが」 俺は、ふと、それにこたえてみた。 「なんでお前は、男なんだ」 「それは、、、」 『なんであなたはロミオさまなのか』と問われたロミオの気持ちというのは、どんなものだったのか、俺は知ったような気がした。 「なんで、お前の体は男で、オレの体は女なんだ」 「知らねえよ」 ああ、俺って冷たい。アラスカだぜ。 「そりゃ、そうか」 宮城は、泣きながら、つい笑った。 その顔が奇妙に、可愛く見えたので、俺は宮城の頭を撫でてやった。 「ごめんな。俺はお前が男でも女でも、どっちでもいいや」 「冷たいな。フジシロは」 泣き笑いだ。
目が覚めた。 宮城がいた。 宮城が膝をついて、寝ている俺を覗き込んでいる。 なんだか、凄い状態になっていた。 宮城の胸が見えていた。 小さいふくらみのある胸だ。 こんなに驚いたことはない。かもしれない。 「なあ、なんで俺にはこんなものがあるのかなあ」 宮城がそれを示して言う。 「ええっ?」 夢の続きなのか。 「なんでお前には……」 宮城の言葉をそこまで聞いて、俺はぎょっとした。 更に、こんなに驚いたことはない。と、思う。 俺がかっちり着ていたはずのシャツのボタンというボタンが外されている。制服の紺サージのスラックスに至っては、ベルトが外され、ファスナーが下ろされている。 「おおっ?!」 驚く俺に向かって、宮城は問いかけた。 顔が異様に近いぞ。 「なんでお前の体は、男なんだよ」 「知るか。この変態」 思い切り、殴った。
|
|