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ミヤギ 作者:清夏

第2回   親友の根拠
 見かけで言えば、宮城の方が俺よりも男らしい。かもしれない。
 俺の見かけは、ごく普通の高校生男子だと思う。確かに、目や肌や、髪の色素は薄いし、痩せている方だが、それが男であることを否定するものではない。体は、確実に男であるし、自分は男だという確信はある。だが、もし体が女だとしたら、そんな確信は持てただろうか。疑問だ。
 とかなんとか、少々気持ちの悪いことを考えてしまった後。宮城とは何となくどう接したものかと悩んでみた。
 女として見るべきか、男として見るべきか。
 考えたが、結論は出なかった。
 けれど、宮城を見れば、自然と答えは出た。
 こいつは男だ。男以外の何者でもない。





「なあ、フジシロ」
「あ?」
「お前って、カノジョとかいる?」
 居る。が、答える義理があるのだろうか。俺は、少し間をおいてしまった。
「なんだ。いないのか」
 そう勝手に決めつけられると、腹がたつ。
「いる」
「へえ、どんな女?」
「お前に言う義理はない」
 あからさまに興味アリという宮城の顔から、俺は目をそらした。
 こいつにカノジョを盗られたというヤツの話は、数限りなく聞く。ここは牽制しておかねば。
「冷たいな。フジシロは」
 まただ。
「じゃあお前の女、俺に教えてくれるのか?」
 言えるはずがない。いないからではない。居過ぎるのだ。
 宮城は、ゲラゲラ笑い出して、そりゃ無理だと言った。
 そうだろう。俺は、これでこの会話は終わりだと思った。
「今、女いないからさ」
 しゃあしゃあと、その口が言う。
「そうか」
「ホント、冷たいな。お前。何でいないんだとか、別れたのかとか聞いてくれ」
 怒ったような顔をして見せても無駄だ。全然かわいくない。
「別れたのか?」
「ああ」
「全員とか?」
「そう、全員に振られた」
「そりゃ、ご愁傷様」
 俺の心の込もらない言葉に、また、宮城は言う。
「冷たいな。フジシロは」
 俺は、そんなに冷たい男では、断じてない。友人の相談によくのる方だし、付き合う女には優しいと評判だ。もっとも、『藤代くんて、誰にでも優しいんだ』と女に振られることも多い。それは、まあ、この際どうでもいい。
 問題は、宮城に対して俺が冷淡だということだ。
 なんだかこいつには、俺を入り込ませない何かを持っている。つきまとって、秘密まで打ち明けているが、決して心を許していないのだ。俺は、それが気に食わないのかもしれない。
「親友なんだから、も少し慰めてくれてもいいんじゃねえの。」
「親友ならな」
 不服そうな宮城の声に、俺は思わず言ってしまった。軽い冗談に過ぎなかった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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