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リザーボンド 作者:山田兄弟

第1回   愛人の死
 今朝、大切に飼っていたパーニャが死んだ。セミのパーニャが死んだ。
「パーニャ、どうして・・・。ちょっと冷蔵庫で保管しただけなのに・・・・」
 幼虫から七年も育てたのだ。悲しくないはずがない。
「パーニャ、パーニャアアアアアアアアアアアアア!」
 冷たくなってしまったパーニャを抱きかかえながらバーニャはおいおい泣いた。確かに泣いていた。ただ口は笑っていた。
「ふふふ、僕はパーニャじゃない!バーニャなのさあああああああああああ!そして僕は15歳だ!イエアアアアアアアアアア!」

 バーニャは狂気に満ちた形相で公園「リザーボンド」へ足を運んだ。公園にはすでに先客が訪れている。いずれもイカツイ面をした中年男性達で、皆その筋の御方々(ヤクザ)だった。バーニャは己のテリトリーを荒らせている事にひどくうろたえたが、やがて懐を手をいれ、護身用のカッターナイフを片手にリザーボンドへと足を踏み込んだ。
 ヤクザ達は一斉にバーニャの方へ振り返る。
「おいおい坊主、ここは俺達のテリトリーだぜ」
 得意気に言い放った。バーニャは負けじと言い返した。
「うるせえ、こっちにはカッターナイフがあるんだ」
 ヤクザは応答した。
「仕方ねえ、今回だけは言う通りにしてやらあ」
 バーニャはいきった。そして不敵な笑みを口元に浮かべ、低いがドスの利いた声で牽制するように呟いた。
「よしババ抜きをしよう」
 ヤクザは相変わらずサングラスをギラギラさせてはいるが、
「ババ抜きか、面白そうじゃねえか」
 どうやら即決のようだ。

「やったー上がりだ」
「イカサマはいけえねえぜ、坊主」
「おいおいよしてくれよ、俺はカッターナイフを持っているんだぜ」
「ごめん」
 彼らがUFOを見たのは、それからおよそ数日後の事だった(数日間ずっとババ抜きやってました)。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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