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もし、素直に泣く事ができたなら… 作者:快新平

第1回   悲しくて…
あの夜。

私は泣いた。



悲しくて、悔しかったから。

自分のため、そして、私のために頑張ってくれた人のために泣いた。



なんで泣いたかといえば、中学最後の担任に、卒業の報告に行った時、私が、

「結構大きい代償払う事になりましたけど、その分学んだ事もあると思うんです。」

と言ったら、その人が、

「でかい代償か?」

と、言ったから。



大きな代償じゃないのか?

全日高校の生徒が、通信制の高校に転校するのって、勇気いるし、大変だった。

それ以前に、病気になって、かなり辛かったし、いろんな人に迷惑かけたし。

その思いから出た言葉が「大きい代償」なのに、そうなのか?と聞かれると、少し悔しい。



先生はそんな気持ちで言ったんじゃないとは思うけど、でも、悔しかったし、悲しかったんだ、

私は。

自分勝手かもしれないけど、悔しかったんだ。



今、その事を思い出している。

でも、今涙は出ない。

今、泣けたなら、もやもやした気持ちも晴れるだろうに。

号泣できたなら、それで、こんな思いも、去ってくれただろうに。

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