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幸せのかたち 作者:快新平

最終回   「幸せ」のかたち
 私の幸せは、病気に勝って、声優になって、たくさんの人に勇気や夢を与える事のできる未来。

 あの人の幸せは、2人の子供に恵まれて、楽しく暮らせている現在。

 あの人の幸せは、オペラハウスでたくさんの人の喝采をうけた過去。


 決して今が幸せでないわけじゃない。けれど、もっと、もっとと人は望んでしまうものだ。



 未来に幸せがある私。現在が幸せなあの人。過去に幸せだったあの人。


 それぞれ、幸せの形は違う。でも、「幸せ」というひとつの言葉で語られる。

 お金があれば、幸せという人もいる。

 いまの温かい家庭が幸せだという人もいる。

 今日、生きているだけで幸せだという人もいる。

 他人が不幸だと思っても、「幸せだ」と思って生きている人もいる。



 私が精神的な病気になったとき、ある人はそれを、「不幸」と呼び、ある人は、未来のための「試練」だと言った。

 ようは考え方だ。

 私は今、病気になってよかったと考えるようにしている。

 同じ病気をもった人の力になれる「チャンス」だと。



 幸せのかたちは、人それぞれ。

 それが幸せだと決め付けない事。

 幸せは、常に形を変える。

 過去、現在、未来。

 本当の幸せは、「幸せ」と簡単にまとめられる今なのかもしれない。

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