和解というか、ともかく、長年の問題?も解決したことで帰宅しようという事になった。 すっかりと夜になってしまった帰り道。 二人は、それぞれが会っていない間の話をしていた。 織夜の警戒心はもう、ほとんど解けていて、克司との会話を楽しんでいた。 すると、唐突に織夜が克司に聞いた。
「そういえば、何で今日部活がなかったんだろう?」
そう、部室に誰も居なかったのだ、普段なら考えられない事だ。 超が付くほどの有名音楽学校の吹奏楽部が、何故だか今日は 誰一人音楽室に居なかった。その中には教員も含まれる。となれば疑問が生じる。
「ああ、それはですね、俺が今日は部活ナシにしますって言ったんですよ。」
一瞬、織夜の顔が強張った。
「・・・・ココの学校って、超が付くほどの音楽学校ですよね?」
「え?ああ。世間だとそう言われてますね。」
声が強張る織夜に対し、克司はのほほんと答えた。
「何で先輩の一声で、自主練すら誰もやってないんですか!?」
「さぁ?邪魔をすればどうなるか身をもって知ってるから、じゃないですか?」
さらりと言ってのけた克司。その顔は笑っていた。織夜の口元が引きつる。 またしても織夜の女の勘が警報を鳴らしている。 本能的に、克司から離れようとしたが、哀しい事に叶わなかった。
「逃げる事はないでしょう?傷つきますよ、俺。」
織夜の腕を掴み離そうとしない克司。本人は到って真面目に言っている。
「アンタ、何者だよ!!?」
織夜の絶叫が路地に響いた。 絶叫の後に駈け去る足音も響いたのはいうまでもない。
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