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私とコマ坊 作者:isaku

第7回   遭遇
嫌悪と憎悪の混じり合う匂いと
狂気染みた風の悲鳴に私は身を縮こまらせた。


「っ!?」


あまりの気持ち悪さに、オルゴールを抱え込む。
それでも気分が紛れない

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!

けれど、それと同時に
私の中で何かの引っ掛かりを感じていた。



「どうしよ・・・部屋から出ちゃった・・・」



コマ坊が絶対出るなって言ってたのに・・・
しかも出たら、危険みたいな事も言ってたのに・・・
不可抗力だったけど!どうしよう?!
もろ、扉開けちゃったんですけど!!




ゾクッ



「!?」



さっきと同じ、嫌に生ぬるく湿った風が私を撫でていく。




『来る・・・ここにいてはダメ・・・逃げて・・・・』



「・・・え?」


歌っていた声と同じ・・・


『ダメ、立ち止まってはダメ・・・』


手の中のオルゴールを覗けば箱が開いたままになっていた。
勝手に、開いたの・・・?


『逃げて、彼のところに行けば・・・きっと助けてくれる・・・』


確かに本能が危険だって警報を鳴らしてるけど!


「彼?彼ってコマ坊の事?!」


『その人なら、助けてくれる・・・』


コマ坊の所に逃げろって言う前に



「何処に居るかなんて判らないわよ!!!」




【逃がさぬぞ、小娘が!!】




私とオルゴールの人形との会話に
何かが割って入ってきた。



「!・・・振り向いちゃダメよね!?」

オルゴールの人形に向かって、叫ぶ。


そして





ダッシュ!!!






コマ坊を探すべく、そして何かから逃げるべく







「何処にいるのよ!!コマ坊ぉぉぉぉぉ!!!」







私は走り出した。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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