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私とコマ坊 作者:isaku

第6回  
コマ坊と別れてから私は部屋でじっとしている。
無論一人のはず

なのに何故かしら、部屋の外からミシミシ、ぎしぎし
窓を、びたっ!って叩き付ける音とか
天井からキヒェヒェと音が聞こえるんです


「うぅ。暗いよぅ電気点かないよぅ」


ハッキリ言ってコワイ!
外なんて真っ暗になってきたし
そう思って、携帯を取り出してみれば

「・・・まだ、四時になってない?」

3:47と画面に表示されていた。

「・・・壊れてないよね、買ったばかりなんだから。」


じゃぁこの辺りの暗さは何なの?!
綾乃に電話してみよっかな・・・



「繋がらない!?」


って言うか、電話から「きっしっし」て
笑い声が聞こえるんですけど!!?


ら・・・ららー・・・ららら・・・


「!!」


び、びっくりしたぁ・・・


オルゴールからまた歌が流れてきた。



「そー言えば、蓋も開けてないのに
何で歌が漏れてきてるの?やっぱ呪われてる・・・?」


恐怖心よりも好奇心の方が勝ってしまった。


私は扉近くの棚の上に置かれていた
オルゴールに手を伸ばした。


そして、蓋を開けた。



手をとり合い 貴方と二人で歩いた道
祈りが 届かないと知っている
手を放せば 戻ってこない事も
けれど どうかお願い 帰って来て 私の元に



ハッキリと歌が聞こえた。

箱の中心の台の上にいる小さな人形の口から歌が流れてくる
否、この小さな人形が歌ってる?

「なに、コレ・・・本当に、呪われてる・・・?」



どうか 置いていかないで
どうか 私の元に 帰って来て
どんな姿になっても どんな姿であっても
逢いたい それが 私の たった一つの願い



人形は一通り歌い終わると、かくん、と首を垂らした。


「今の歌ってまさか・・・」


もう、オルゴールは鳴らなかった。
ネジを回してみても、音の出る気配は無い。


「・・・このオルゴールの持ち主が実は死んでて
死んでも尚、別れた人と逢いたいが故に、オルゴールに形を留めてるとか?」


ふっ。自分のメルヘンチックな考えに笑えるわ。
まさかね、そんな事ある訳・・・




『あの人にどうしても逢いたい・・・』




「!!?」




独り言に返事が返ってくれば、誰だって驚くよね?
その拍子に、もたれ掛かっていた扉を開けちゃっても
しょうがないって言えるよね!?


嫌に生ぬるい湿った風が、扉の外から吹き込んできた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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