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私とコマ坊 作者:isaku

第5回   焦燥
「どうしてこんな所に、雨宮が居るんだ?!」


しかもこんなモノを持って・・・
って思いっきり溜め息吐かれたし

「先生に言われたくないです。」

「お前は・・・」


怒りにプルプルと震えるコマ坊。


------、----、---、--♪


「あ、まただ・・・」

「!」


らーらー、らららー・・・


途切れ途切れのメロディーに重なる歌声


「冗談じゃないぜ!」

突然コマ坊が叫んだ。

「ど、どうし・・・って、うわぁ!?」

「やってられねーよ!歌姫さん、気ぃ早すぎだっての!!」


それだけ言って、私の腕を引っ張りながら歩く。
こんな古い洋館の中を迷いも無く進めるって事は
やっぱしこのお屋敷はコマ坊の家?!



引かれる腕が少し痛い、無言のまま歩いていると
一つの扉お前で止まった。

周りに比べると少しはマシな扉だわ。
ココがコマ坊の部屋とか?

私を連れ込んでナニする気だよ、この似非教師!!?


乱暴に扉を開け、私を部屋の中に押し込む。


「いいか?ここから絶対に出るなよ!
俺が迎えに来るまで絶対だ!何かがノックしても絶対にだぞ!!」


『何かが』ノックしてもって何?!!


「ちょ、ちょっと?」


「歌姫さん。言っておくが、この娘は俺の生徒だ。
巻き込むことは絶対に赦さない。アンタの身勝手な行動で
万が一の事が起きたなら・・・その時は、アンタの願いは叶えない。」


コマ坊が突然独り言を!?

あれ、でもさっきコマ坊に投げつけた
オルゴールに向かって喋ってる気もする


---、-----、-------、---


訴えるような痛々しいメロディーが流れる。


「言い訳なんて聞きたくない。」


即答するコマ坊。
そっちも気になるけど、この部屋の飾りは一体?
俗に言う、魔法陣だの水晶だの蝋燭だの・・・
まるで黒魔術の儀式をするような雰囲気が
怪しさ満点って感じ。


「雨宮。俺がこの扉を自分で開けるまで絶対にこの部屋にいろ!
絶対に部屋の外に出るな!ココが一番安全だから・・・ちゃんと約束は守れよ!?」



『開けるな』『部屋にいろ』『一番安全』
この場所が危険ですって言ってるじゃん!!


「歌姫さん。アンタも、あの娘の体使って屋敷の中を動き回らんでくれよ。」


私の体を使う!?
まさか、まさかあのオルゴールって・・・

否。このお屋敷自体
呪われてるんじゃ・・・?


私はとんでもない事に首突っ込んだの?!!

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Novel Editor by BS CGI Rental
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