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私とコマ坊 作者:isaku

第4回   窮鼠猫をかまず
私が一歩を踏み出せば、コマ坊は一歩後じ去る。


「先生、何でココに居るんですか?」


流石に本人の手前、コマ坊と呼べない。
腐っても相手は教師だからね。

すると、コマ坊は口元を引き攣らせながら
瓶底眼鏡を押し上げる。


「人違イダヨ。」



何で片言!?


「やだなぁ先生、教え子に対して酷いですよ。」


「人違イッテ言ッテルダロ。」


じりじりと、追い詰める。
コマ坊はびくびくと後じ去る。
差し詰め、今の私は慌てふためく鼠を追う猫・・みたいな?

何か私が悪役のようなのは気のせい?

いつまでもこんな状態ではいけない。
話が進まないしね。ってことで、ダッシュ!


「うりゃ!」

「げっ!?」


ぱしっ

ひらり



「逃げるなァァァ!!」

「追ってくるなァァ!!」


くっ!
中々に早いわね!!

しかぁし!陸上部も吃驚な私の足に
果たしてコマ坊が粘れるか!!?


「あ!ずるっ!!」


するとコマ坊はでっかいお屋敷の中に逃げ込んだ。
不法侵入?
でも、門から入ったしな・・・


「この屋敷は、コマ坊の家?」


それにしては、イメージが・・・
もっとこう、ずぼらというか
シンプル・イズ・ザ・ベストみたいな感じがしてたんだけど
何故に洋風の館なのか、お化けとか出てきそう


「どーなってるの?」


おっかなびっくり、私はお屋敷に入った。



「でかい。広い。汚い。」


埃まみれ、ちゃんと掃除しないと
病気になるわね、コレ。


ひょこひょこ


「うわ〜、あの白髪頭は・・・」


ひょこひょこ


解りやすいぐらいにコマ坊の白髪が揺れている。
階段の所に隠れてるつもりなのかしら?


「何やってるんですか、先生」


びくっ!!


たたたたたたた



呼びかければ、いきなり逃げ出す始末。
いい加減私の堪忍袋の緒が切れた。



「だから逃げるなぁ!!!」



ひゅんっ!!!


私は手に持っていたモノを
コマ坊に向かって投げつけた。



「!?」


「やばっ!」


オルゴール投げちゃった!!!?


はしっ


「バカ!!なんでこんなん持ってんだよ!?」



今まで他人行儀だったコマ坊が、怒り出した。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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