「ぱぱぁ、からすまってからすさんのこと?」
なんともほのぼのと言ってくるさくらに、少し落ち着きを取り戻した俺は頷いた。 だが、次の瞬間にさくらは爆弾を投下した・・・・。
「じゃぁあんしんして、さくらおよめにいけるね!!!」
・・・・・・・・・オイ・・・・・・・・・・なんで、こんなにしっかりと遺伝されてるんだ!!? ちとせといい、さくらといい・・・・何処まで似ているんだ・・・・・ やべぇ、過去の古傷が・・・・ そう言えば、ちとせも俺と結婚すると宣言したしな・・・・・・・
完璧有言実行タイプじゃねーか!!?
やばいやばいやばい、本気でやばい!! さくらも将来、烏丸に「既成事実を作ろう!」発言をしかねない!! そして、一気に・・・・・・・・・・・・・・ああ・・・・胃が痛い・・・・・・・・ 俺は、自分の胃の部分を腹の上からさすりながら、ちとせに聞いた。
「ちとせ・・・・なんで、あんな不審者を家にあげた?」
「シザクのお仕事仲間なんでしょ?平気だったよ。私と年も近かったし!」
話していて楽しかった!などと、ニコニコ話してくる・・・・ ・・・・・・年柄もなく、少しムカツいた・・・
「早乙女・・・不審者が貴様の知り合いとは・・・・」
ヒヤリ・・・・・ 室内の空気が一気に下がった。
「いったい、どう言う事だ、あ”?」
ちとせから視線を外し、このヒヤリとした空間を作り出したヤツの顔を見た
・・・・・うわぁ・・・・・般若がいる・・・・
「ちとせとさくらに、もしもの事があったらどうする気だ!?」
一気に捲し立てる榊崎。 ・・・・・オイ・・・・・倭のことはいいのかよ?
「貴様のモノ(命)で事足りるとでも思っているのか。」
ドスの利いた声で俺に言ってくる。 勿論、物騒な言い方はしないよう、あえて伏字を使っている。 何気なく、そう。何気にさり気なく、榊崎の背中から日本刀らしき物がでてきてるし・・。 ・・・どうやって、背中から・・・・・?
「物騒な物を持ち出すな。いっとくがなぁ 烏丸が不審者である事は認めるが、お前も相当な変質者だぞ。」
「逝け。」
コレでもかと言う位の低音を言葉にし、榊崎が軽く腕を振る。 ギラつく日本刀が俺の方に向かって振り下ろされてきた。 俺は、横に座っていた倭を抱えて、ソファーから飛びのいた。 ソファーにキレイな切り跡が残った・・・・コノヤロウ・・・・・・・ 結構このソファー気に入っていたんだぞ!
倭を何とか安全圏に下げてから、反撃をしようとした時だった。
「ダメーーーーーーーーーェ!!ぱぱをいじめちゃダメェ!!!!」
今まで状況を飲み込めていなかったさくらが榊崎に向かって、不機嫌に言っている。 頬を膨らませ、俺を庇うように目の前に立ち榊崎を見ていた。 本人的には睨んでいるつもりなんだろうが、遺憾せ榊崎の締りのない顔を見ると 睨んでいる様も可愛くて仕方かないようだ・・・・ふっ・・・我が娘ながら流石だ。
「さくらちゃん、別に苛めてる訳じゃないんだ・・・・」
しどろもどろに言い訳をし始める榊崎。 慌てて、日本刀を背中に戻している・・・・・日本って銃刀法違反ってなかったか? って・・・あの日本刀、もしかしなくとも以前ちとせの里帰りに同行した時に ちとせ母が所持していたものでは・・・・・? しかも、日本刀の長さとヤツの背丈の差があるはずなのに・・・ 日本刀の方が長いのに・・・・・ヤツの背中は四次元○ケットか?って思えるほど するすると収まった・・・・・不覚にも、あの背広(?)が欲しいと思ってしまったのは内緒だ。
「ダメッ!ぱぱをいじめるしょーちゃんなんてだいっっっきらい!!!」
「さ・・・・・・さくらちゃん!!!?」
三歳児とは思えぬ息継ぎで一息に、榊崎への文句をさくらは言った。 その言葉に打ちひしがれる、男 榊崎頌護(26) まだ若いとは言え、立派なロリコンになりました。 何度も言うようだが・・・こんなのが俺の義理の兄貴なのか・・・・はぁ・・・・
「私も・・・・シザクを切りつけるような人・・・嫌い・・・。おにー様サイテー。」
小声で、けれどはっきりと聞こえるようにポツリと呟くちとせ。 その呟きを聞きまたもダメージを受ける榊崎。 母と娘の最強タッグの完成だ。
・・・・・見ている此方が同情できるほど、榊崎は陰を背負っている。 部屋の温度が更に下がった。
「あの・・・おじさん・・・・。」
倭が榊崎に話し掛ける。 おお!優しいなぁ、俺だったら同情はしてもそれ以外は何もやらんぞ。
「や・・・まとくん・・・・?」
倭はちとせ似だ。寧ろ、外見は殆どちとせを幼くした感じた。 でもまぁ・・・中身はどうやら、俺に似ているのかもしれない・・・ 優しく話し掛け慰めようとする倭に、榊崎は感激しているようだ。 オイ・・・・ちとせに似ていたら誰でもいいのかよ・・・・・・さっきまでの態度はなんだったんだ? 対する倭は、ふわりと微笑みを浮かべる、まるで聖母マリアの慈愛を彩ったような。(どんな彩りだヨ) 五歳児とは思えない笑い方をするんだな・・・将来がある意味怖い・・・・・。
「はやくかえったほうが、 身の為 ですよ?」
・・・・・・・・・・・・・あー・・・空耳かな・・・・ 俺は、現実を直視したくなかった・・・・・ 倭は家の受話器を榊崎に差し出した、と言うか・・・・何故受話器? 榊崎は榊崎で、倭の言葉に固まっていた、ちとせ似の可愛い甥っ子が 笑顔でさらりと毒を吐いてきたのだ。 ちとせやさくらからのダメージほど受けないにしても、ショックのあまり固まようだ。
「倭、どうして受話器なんか持ってきた?」
コレは親ばかじゃないからな、倭は頭のいい五歳児だ 無意味な事、つまりは自分の得になることを前提に行動することが多い。 だから、この受話器がどう使われるのかを不思議に思った。
「でんわをするためだよ?」
不思議そうに首を傾げてくる倭。ココだけ見れば、愛くるしいのだが・・・・。
「普通はな・・・・。どうして榊崎に渡すんだ?」
「え? だって、おじさんが邪魔なんだもの かえってもらうためだよ?」
俺に向けて、満べんの笑みを作った。
「 だって、おじさんはおじーさんの命令はきくんでしょう。
今、おじーさんにでんわしたの。おじさんをひきとってもらうためにね。」
俺は自分の頬が痙攣していくの判った。 榊崎の方を見ると、倭から受け取った受話器を持ち そして、見る見るうちに青くなっていった。
・・・・・・・・・倭・・・・・・・・・・・・・・父さん、お前の腹黒さがコワイです。
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