自分に素直になろう
あたしは思ってそう思って奏多を探した。 まだ帰ってないだろう。 時計の針は5をさしていた。 奏多は普段6時頃までは残ってる。 そしていつも、中庭にいる。
今日は風がいつもより強い。 あたしの長い髪がなびく。 奏多はいつもみたいにベンチに座っている。 そして本を読んでる。 あたしが歩いてくると奏多が気付いた。 笑顔であたしの方に走ってくる。 『どうしたの?・・・泣いてる?』 さっきまで良の前で泣いていたせいか目の周りが赤くなっている。 『話があるの』 あたしはそのとき真剣な顔をしていたと思う。 奏多も何かを察したのか真面目な顔になったがすぐに笑ってくれた。 『さくらが言いたいことは分かるよ・・・自分の本当の気持ちに気付いたんでしょ?』 あたしは何も言わずにうなずいた。 『ごめ・・・』 『謝らないで・・・僕はさくらが好きなんだ、だから別れるの。僕はさくらの幸せそうに笑う顔が見たいんだ』
奏多はそういって笑ってくれた。 その笑顔が悲しく今でも忘れられない・・・。
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