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あの夏の日をもう一度 作者:TOMO

第6回   思い出
放課後の教室はセピア色だ。
太陽の光が赤く輝き教室を照らしている。
外は部活の生徒の声。
そしてあたしは教室の中にいる、保と一緒に。

『お前が好きだ』

その一言だけ。
あたしは黙ったままうつむいていた。
どうして答えれなかったのは変わらない。
心のどこかで言って欲しかったのかもしれない。
何も言わないあたしに保はしびれをきらしたのかあたしを抱きしめた。
あたしが顔をあげるとそこには成長した保の顔。
ドキドキしてします。
腕は自由だ。
思いっきり顔を殴った。
『あたしには彼氏がいるんだ、今頃そんなこというな』
『今頃って・・・じゃ、いつ言えばよかったんだよ?!俺が越すとき無視したよな?』
『あれはお前が突然・・・』
『全部俺のせいか?』
あたしはその時どんな顔をしていただろう・・・
多分とても恐ろしい顔をしていたと思う。

その日はそれで終わった。
あたしは家に帰ったら自分の部屋でアルバムを見ていた。
アルバムのあたしは無表情。
クラスの集合写真は笑顔だった。
多分保が引っ越す前に撮ったのだろう・・・。
そして≪5年生の修学旅行≫と書いてあるページを開いた。
そこも笑顔・・・・保が引っ越す前の写真は全て笑顔だった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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