『さくら変わってないな』 5時限目が終わってからずっとこうだ。 『隣の女の子がさくらって子っては聞いてたけどまさか・・・お前だなんて』 『・・・』 あたしは完全無視をした。 『なんで無視・・・』 『うっさいんだよ!!!久しぶりに学校に来てみりゃーテメーがいるわ、先公に説教されるわ・・・少しは黙ってろ!!!』 廊下にひびくような声で怒鳴った。 A組の人達は驚いたようだ。 いっせいにさくらの方を見た。 あたしは立ち上がり椅子を蹴った。 『さくら!!!』 とても落ち着く声が聞こえた。 『奏多・・・』 奏多が走ってさくらに寄ってきた。 『どうしたの?普段は静かなのに・・・・』 『ちょっとね・・・こいつが』 奏多が保の方を見た。 保はさくらにつられて立ったようだった。 『さくら、とにかく落ち着いて』 さくらは素直にうなずいた。 A組の人たちはまだ3人のやり取りを見ている。 『さくら・・・前はそんな短気じゃ無かったのにな』 『黙れ、話しかけんな』 さくらは奏多の手を握ると教室から出て行った。 奏多は保の方をちらりと見た。 なんで手つないでんだ?と言いたそうな顔をしている。 『ちょっとー保大丈夫?』 麻耶が心配そうな顔をして保の手を握った。 麻耶は6年生の時さくらや保、來と同じクラスだった。 『さくらには近づかない方がいいわよ、あの人不良なのよ』 保は麻耶の言葉なんて聞いていなかった。
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