『奈乃香、引っ越すって本当??』 『えぇ。今までありがとう、ナンシー。』 『日本に行っても、連絡してよ?』 『さぁね』 『もうっ!・・・奈乃香らしいわね。』 『それじゃぁ、もう行かなきゃ。じゃぁね。』 『ちょっ・・・連絡先くらい・・・っっ!・・・まぁいいわ。じゃぁね、奈乃香』 『バイバイ、ナンシー』
「ねぇ亮・・・?奈乃香ちゃんから・・・連絡ないの?」 「ぁ?・・・ねぇよそんなもん。」 「っごめんなさい・・・。もうあれから大分たったから・・・もしかしたらと思って。」 「ぃや。来たらお袋にも言うよ。」 「そうよね。・・・無事ならいいんだけど。」
「あの・・・っ宍戸奈乃香さんの・・・居場所をご存知ですか?」 「失礼ですが、どなたでしょうか?」 「私は、奈乃香さんの仕事によって父を亡くしたものです。しばらくの間・・・あのニュースを聞くまでは奈乃香さんのことを恨んでいました。でも、あのニュースを聞いて、奈乃香さんとお話したくて・・・。」 「・・・残念ですが、お引取り下さい。我々も、奈乃香の居場所は知らされていません。」 「そうですか、失礼します。」 「跡部?またか?」 「あぁ。もぅそろそろ半年経つんだがな。」 「どこ行ったんだろうな。」
もう半年・・・か・・・
「着いた・・・」
国際空港に、一人の女が現れた。 サングラスに、金髪に、ぱっと見アメリカ人かと思われる。 背丈はすらっと高く、モデル以上の外見だった。
「久しぶりだなぁ、日本。」
「ねぇねぇ、君っ!!アメリカ人?」 「いや、日本人だけど。」 「マジ!?ラッキー♪♪めっちゃ美人じゃん!ねぇ遊ぼうぜ!!」 「冗談。そんな暇ないんだよね。」 「そんなこといわずにさぁっ、ね!?」
うるさいなぁ・・・相変わらずだね、日本って。
「ウザいんだけど・・・?」
そういって女はサングラスを外した。
「ぁ・・・どっかで見たことある・・・。」
にこりと女は微笑んだ。
「ねぇぼうや?・・・怪我したくなかったらさっさとどきな!!」
「思い出した・・・名前なんだっけ?あの事件の・・・」 「あの事件・・・あぁ!なんか色々数え切れないほどのことしてたってやつ!」 「あの後確かどうなったかはニュースなかったよなぁ。」 「いろいろな会社とかの社長とかも犯罪で問題になってたし・・・。」 「名前は・・・」 「確か・・・」
「「宍戸奈乃香」」
「どうしよっかなぁ・・・。自首的に国外追放した身だし・・・日本に長くいるわけにはいかないんだよね。」
あれから私は事情聴取を受け、跡部君たちの訴えもきちんと受け入れられたらしく、軽い罪ですむらしかったが私は自分自身の考えで、国外追放を願った。 しかし、そこまでのことは出来ないということで、日本に短期間いる事は許されるということになった。 今回、今までいたアメリカの州を出て、また違う国に行こうと思い旅立った。行くあてはゆっくり考えようと思いつつ、アメリカから日本をはさんだ反対側の国にでも行ってみようと考えた。 その途中で、日本に立ち寄る事にした。
「ってか今日部活サボってよかったわけぇ??」 「いいのいいの!!今日皆川倖の出る番組あるんだって!!緊急生放送らしいんだよね!授業中メールで情報きてさぁ。部活なんてやってらんないし!」 「皆川倖?香奈めっちゃファンだもんねぇ?」 「そうだよ!!そういう奈美こそファンでしょぉ!?」 「そうだけどぉ〜・・・。」
のんびりと歩いていると、そんな声が聞こえた。 ふと見ると、制服を着た女子中学生と思われる子が歩いていた。 皆川・・・ちゃんと仕事やれてるんだ。よかった。 ・・・部活か。亮とか跡部君とか・・・皆元気かな? あれから親とも、皆川達とも、亮たちとも・・・連絡切ってたから。
平日か・・・記憶が正しければ、今から部活か・・・。
気付かれないように覗いてみるかな。
in 氷帝学園
「おらっ!お前等!部活テレテレやってんじゃねぇぞ!!!」 「あ!跡部部長・・・!!」 「俺等が仮引退したからって真面目にやんねぇようじゃ俺等はいつまでも引退できねぇんだよ!」 「「はいっっ!!すみませんでした!!」」 「跡部、そういう俺等も、ここんとこちゃんとやれてねぇよ。」 「ジロー・・・?」 「3年は毎日のように部活来てるけど、ちゃんとテニスしてねぇもん。鳳たちが力入んないのも無理ねぇって。」 「そうやで、跡部。ジローの言うとおりや。俺等も・・・まだあの時のこと引きずってる。」
仕方ねぇよな。それは・・・俺も同じだ。 どこ行ったか・・・それさえ分からないんじゃぁな。
「なっさけないわねぇ・・・。」
ボソッと呟いた。
久しぶりに皆の顔見れたと思ったら、跡部君は怒ってるし、 皆・・・落ち込んでるし。
・・・あの時って・・・私のせい??
「情けなさすぎ。いつまで引きずってんのよ。そのまま、ダメな氷帝になっちゃうわよ。あんたたちが私に・・・あんだけ文句いって守ろうとした氷帝が。」
ポンッ・・ポンッ・・・
テニス・・・ボール・・・??
あっちの一年生が打ったボールか。 ったく。・・・しょうがないなぁ・・・。
「ちょっとごめんね、君、一年生だよねぇ?ちょっと・・・ラケット貸してくれる?すぐ返すから。」 「ぇ!?ぁ、はい。あの・・・あなたは?」
覚えてないか・・・外見コレだしね。
「ちょっとね、ゴメン。借りるね。一球打って返すから。」 「はぁ・・・。」
ポーンッポーンッ・・・バコッッ!!!
「「ゎっっ・・・!」」
「っっ・・・!誰だ!一年!!!」
そういって振り向くと、そこに誰かいた。一年生だけではなく・・・ 何だあいつ・・・金髪で・・・サングラス・・・??
「ありがとね、ラケット。」 「はいっ!」
そういって奈乃香は歩き出した。跡部達の所へ向かって。
「久しぶりね、跡部君。ちゃんと部活もやらないで、何人のことで話し込んでるのかしら?皆頑張ってるかしら?って見に来たのに。」 「は・・・?誰だお前・・・。」 「声でわかんないなんてまだまだねぇ。」
奈乃香はすっとサングラスを外した。
「これでもまだ、分からないかしら?」
「奈・・乃香・・・!!??」 「亮、よく出来ました。久しぶりね、皆。」
「「「奈乃香・・・!!!!!」」」
「あ〜ぁ。覗くだけのつもりだったのに。」 「どっ・・・どうしてたんだよ・・・!今まで。」 「ん?アメリカにいたよ。国外追放w」
笑顔で話す奈乃香に一同はあっけにとられていた。
「何で・・・連絡の一本もよこさねぇで・・・。」 「理由はないんだけどさぁ・・・。誰にも連絡しなかったし?」 「もぅ俺たちと一緒にいれるのか!?国外追放の期限はもう・・・?」 「いや、出来ないよ?国外追放は私の自主的なものだしね。今はアメリカから違う国に移動中なの。ちょっと日本に立ち寄ったから着てみたんだけど、もう行くし。」 「行くってどこに・・・!?」
「知らない。」 「「「「はぁ!!??」」」」
「行き先は決めてない。せっかく日本以外の場所に住めるんだもん。いろんなとこ行ってそれで決めるから。」
「そんな・・・っ」 「ココにいろよ!」
変わってないんだね。何か・・・安心した。
「ありがとね。皆。皆にちゃんとした別れ告げてなかったから、もう行かなきゃ。 長太郎達も、ありがとう。楽しかったよ?跡部君があの時言ってくれたこと、忘れないから。じゃぁね。」
そう行って、歩きだした。
「奈乃香!!!!」
「何?」
後ろを向いたまま。でも、あの部室の時のように悲しみはなかった。
「また・・・会えるよな?」
そうね・・・。きっと。でも今は・・・
「さぁ?どうだか。先のことはまだ分からないから。私、跡部君の言葉で今を生きる事にしたの。じゃぁね。またどこかで会いましょう?皆、元気でね。」
「奈乃香も・・・!お前が会う気なくても、ひたすら探し回って会うから!」
「楽しみにしてるわ。」
「おぃ!!奈乃香!!!」
「何?跡部君。」
「あの時言った事、変わってねぇから。ずっと・・・仲間だからな!」
嬉しかったよ?涙が出るくらいに、その言葉は。
「ありがとう。私も今ならそう思えるわ。」
バイバイ・・・皆。また会う日まで。
そういって、奈乃香は去っていった。
悲しみのない、希望に満ちて。
さようなら。コドナたち。
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番外編終わりました。 今まで、本当にありがとうございました!
ナツ
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