「ちょっと・・・待ってください。」
「「「宍戸・・・」」」
「亮・・・?」
「確かに。そいつは捕まえられてもおかしくない事はたくさんやってきていると思います。仕事の数は3歳のころからだから・・・ありえないくらい、一生聞き終わらないんじゃないか?ってくらいの仕事の量こなしてるんだ。奈乃香もそれは分かっている。だがなぁ、何警察は何事もなかったかのように連れて行こうとしてるんだ?お前等の上司はどうした!?奈乃香に協力してもらって、いろんな悪事をもみ消したりしてきたんだろう!?お前等の上司は責任とったのかよ!!??」
ジー・・・というマスコミ陣のカメラ音だけがその場を包み込んでいた。
「ぁ・・・馬鹿らしい、行くぞっ!ほらっっ」 「ぇ・・ぁ、はい。」
『今、先程の会見の宍戸奈乃香容疑者が警察に連行されようとしていますっっ!しかし、先程の少年の発言にもあったように、警察上部の方も確かにこの事件には関わっているでしょう。それに対しての警察の態度は、『馬鹿らしい』と警察の問題に関しては関わるのを伏せているように思われます!』
「なっ・・・!そこのマスコミ・・・っ・・・!!」 「ちょっと待ってくださいよね。そいつだけ逮捕なんて不公平すぎます!」 「ちょっっ・・・!」
「なぁ、アナウンサーの姉ちゃん。こんにちは。ちょぃ良いか?」 「ぇっ・・・!?ぁ///」 「跡部〜!!ええか?もう。」 「あぁ。いいぜ。忍足。」
カチッ・・・マイクとカメラの電源を、マスコミ陣に気付かれないように何台か入れた。
「こんにちは。今、宍戸奈乃香という女性の事件は、ご存知の方も多いと思います。その事件に関わってしまっていた、跡部景吾です。今、警察上部の方が問題になりましたが、どうでしょうか?それだけではないはずですよね?奈乃香さんの仕事事情を知っている・・・奈乃香さんのお母さん?たくさんの財閥の方たち?警察上部の方?テレビ局の社長さんだって、その1人ではないですか!? ・・・何こんなに奈乃香が頑張ってんのに、奈乃香1人の責任にさせてんだよっ!!! お前らは何か奈乃香以上のことをしたか!?何にもしらねぇ時から、責任も持てねぇような時から、奈乃香はお前たちの手で犯罪者にさせられてたんだよ!才能を持って生まれてきてしまったせいでな!!!お前たちは、嫌な事や、もみ消して欲しいことがあるときだけ、奈乃香を利用しっ、まるで自分たちはなにも悪い事をしてねぇかのように平然として柔らかい椅子の上に座ってんのか!!一番逮捕されなきゃいけねぇのはお前等だよ!!お前等は・・・奈乃香の何倍も悪いことしてきてんだよ!!何で奈乃香1人が責任取ってんだよ!!
ふざけんなよっっっっっっっっ!!!!!」
「・・・跡部君・・・。」
「奈乃香は1人で辛い思いしなきゃなんねぇのか!?大人の・・・頭の悪い大人に利用されるだけされて・・・捨てられんのかよ!お前等みたいなのが作っていく社会なんてっ、俺たち子供が信じられっかよ!!!」
「跡部君・・・!!」
「謝れよ!土下座してでも足りねぇ・・・!一生償い通せよ!!今すぐ自首しろよ!なぁ・・・!自分たちで責任くらいとれよ!!!」
「もぅ・・・いいよ・・・っっ!!」
ハジメテミタ・・・コイツノナミダ・・・
「もぅいいよ・・・気持ちだけで充分だよ?ね?もぅ・・・やめて?」
「何でだよ!お前は・・・人生めちゃくちゃにされてんだぞ!!??生まれたときから・・・自分勝手な大人たちの手によって・・・!悔しくないか!?謝ってもらえよ!どうせ仕事ばかりでろくに学校なんて行ってねえんだろ!?それは・・・お前が・・・人前で初めて流した涙じゃねぇのか!!??友達なんて作るなって言われて、それが当たり前だと思っていた子供がどこにいる!?なぁ・・・!!お前の人生は・・・どんなにたくさんの大人が謝ったって帰ってこねぇんだぞ!!??許されるのかよ!?そんなことで・・・許されるわけねぇよなぁ!!??」
「・・・っっ、そっんぁこと・・・っっ・・・」
「それどころかっこの日本という国にいる・・・いや、世界中の大人はっっお前に謝ろうともしてねぇんだよ!子供の成長を・・・教育を妨げていいわけねぇよなぁ!?お前等大人は、こんなに苦しんでいる子供を・・・ったった一人の子供でさえも助けてやれなかったんだぜ!?この苦しみに気付いたやつはいるのか!?助けてやろうと思ったやつはいたか!?自分の罪が減って、感謝して、邪魔者は消してもらって・・・それが大人が子供にやることかよ!?こいつはなぁ・・・もはや18歳かどうかもわかんねぇような、しっかりした考えを持って、自分一人で生きてきたんだよ!子供という時代を・・・仕事でしか体験せずにな!!!!!!」
「跡部・・・!」 「跡部っもっと言うたれや!!」 「そうだC!!!ちゃんと・・・こんな時にしか言えないよ!情けない大人を・・・子供がちゃんと見てるって事・・・!!」 「奈乃香・・・お前が一番苦しんでるんだぜ?公共の場で、今が本当に本当の気持ちを言える場だ。言ってやれよ。お前の・・・本当の気持ちを。」
「りょっ・・・ぅ・・・っ・・・!私だって・・・ホントはずっと心の奥底で友達が欲しかったはずっだっよぉ・・・っっそんな気持ちは・・っこっこにっいる皆にっ出会うまでっ無くしてったけど・・・っっホントにっみんなに・・・感謝してるの・・・!私・・・まだっ日本で・・・生きて沢山の事・・・やりたっかったぁ・・・っ・・・!中学生には・・・戻れなくてもっ皆と一緒に・・・生きたかったの・・・っっっ!!!」
「奈乃香・・・」 「奈乃香っっ!!」 「奈乃香っ!!」
「まだ・・・授業中だもんね?長太郎君とか・・・滝君とか・・・日吉君とか・・・樺地君とかにも・・・私のこと・・・伝えといてね・・・?準レギュラーの皆にもっ、他の部員たちにも・・・っ亮・・・っおばさまに・・・ありがとうございましたって伝えてね?皆・・・ありがとぉ・・・!」
「奈乃香・・・?行くなよ!お前が行く必要ねぇよ・・・!なぁ・・・奈乃香ぁ!!」
奈乃香は自らパトカーに乗り込んだ。 もう、悔いはないといった表情で・・・。 いつの間に泣き止んだんだろう・・・。 ただ、切なそうな顔だけはしていた。 俺は異常かもしれない。
そんな奈乃香の顔でさえ、とても美しく、愛しいと思ってしまうから。
ただパトカーのサイレンだけが、耳に残った。
あの日、マスコミは去っていった。 鬼と言われるマスコミでさえ、涙を流し、警察官も、しばらくは動かなかった。 テニスコートは校舎から離れているため、鳳達の元には声は聞こえなかったそうだ。 皆、涙を流していた。 なんの連絡もないまま、奈乃香の行方は分からない。 肉親である宍戸に聞いても、首を横に振るだけだった。
どこにいる?奈乃香・・・。日本にいるかどうかも分からない。知ってるか?あの俺たちが喋った内容が、多くの人の心に響いたんだとよ。多くのサイトが出来て、お前を応援していた。お前がずっと引っかかっていた今まで傷つけたと言った多くの人も、氷帝を訪れたんだ。何人もの大人が自首しにいったぜ? だけどなぁ、奈乃香。 お前がいないんだよ。どれだけたくさんの人を見ても、お前がいないんだよ。 素直に喜べねぇし、来た人たちも残念がってる。 なぁ・・・どこにいるんだ?
教えてくれよな・・・奈乃香・・・。
****************************************************************
最終回です。連載は一応終了ですが、明日ぐらいに ちょっとしたオマケを書きたいと思います。 それをもちまして、『コドナ』は終了です。 今まで応援してくださった多くの方、ありがとうございました。
オマケ&次回作も見てください! それでは、感想などを下さると嬉しいです! ナツ
|
|