『学園長って・・・』 「まぁ、理事長兼学園長・・・って感じの人なのですけどね。」 『一体どんな・・・!?』 「・・・・・・跡部財閥の・・・御曹司の・・・跡部景吾という少年を・・・ターゲットに・・・。跡部財閥の社長は・・・数々の詐欺などをしていました。それは、その少年が通っている学園にとってその不祥事が世間に知られる事がどれほど怖いか・・・。その学園長兼理事長も、学校への永遠資金援助を理由に、無理やり悪事に参加させられていました。」
―――――――――――――――――――――――――――――
「跡・・・部・・・??」 「ちょぃまてや・・・なんやそれ・・・。」 「跡部さん・・・??」
跡部の顔は、強張ってた。俺の顔だって、多分強張ってたと思う。 多分、こいつらはもう、奈乃香が誰なのかって・・・気付いていると思う。
「じゃぁ・・・奈乃香サンって・・・和なの・・・??奈乃香さんが言ってる学園って俺等が好きな氷帝なの!?和は・・・跡部を壊そうとしていたの!!??俺たちを騙してっっココを・・・俺たちの居場所を潰していたの!!!???」 「ジロー!!!!」
忍足が怒鳴った。ジローが泣いた。岳人はしゃがみこんでた。皆、涙を目に溜めていた。跡部は、綺麗に涙を流していた。俺は・・・
なんで涙が出てこないんだろうな。
―――――――――――――――――――――――――――――
『だからこそ・・・あなたに依頼したのですね?その泥沼から抜け出そうとするために。』 「えぇ・・・まぁ、私がここでばらしたら意味の無い事ですけど」
そう言って少し奈乃香は笑った。 誰もが息を呑むような、美しい笑顔。
『なぜ・・・それをココで言おうと思ったのですか?』
沈黙が10秒ほど続いた。
「私がこのような仕事をやっていることを知っているのは、世の中の富豪や、政治関係。つまり・・・世の中の偉いとされている、金持ちだけです。裏があるような人たちばかり。・・・ばれたら終わりの人たちばかりです。しかし、金のある人間ばかりということは、ばれてももみ消され、私がばらした場合・・・国外追放も簡単にありえることなんです。」 『ではなぜ!?あなたにとっても罪があることには変わりはないんでしょう!!??』 「えぇ・・・。私は・・・
――――――――――――――――――――――――――――
「国外・・・追放・・・!?」
ようやく俺は声を出せた。 その言葉は、誰にとってもきついものだった。
「なぁ・・・宍戸。お前、知っとったんやないか・・・?和が・・・こんな仕事してるってこと。」 「そうなのか!!??お前までっ俺たちの学校潰そうとしてたのか!?」 「違う!!!違う違う!!!ありえねぇよっっ!!!」
突然の問いかけに、俺はとっさに答えた。 声を荒げると、部室のなかはシン・・・とした。 そっと顔を上げると、跡部と目が合った。
「宍戸・・・何か知ってるなら言ってくれないか?お前が知ってる事。」 「跡部・・・。」
――――――――――――――――――――――――――――――
「奈乃香・・・頑張って・・・。」 「皆川・・・。」 「順一も、そう思うでしょう?私は奈乃香に思いっきりやってほしいのよ。」 「あぁ・・・そうだな。」
――――――――――――――――――――――――――――――
「私は・・・小さい頃から、この仕事をやっている事が当たり前と思っていました。私は、友達を作ってもいけないと言われ、それすらも当たり前になっていました。悪気もなくこの仕事をやっていたのです。ですが、今回の仕事を始めて、私は中学生である少年たちから、色々な事を学びました。真剣に私のことを考えてくれる従兄弟や、財閥の息子の跡部景吾。初めて、自分がしてきた事がどれだけ罪の重いものだったかということを知りました。私が解決してきたたくさんの悪事たちは、解決するだけで終わりではなく、その後で沢山の人が傷ついているということも。悲しくなって、辛くなって、自分にどうしようもなくあきれて・・・。その中学生の・・・彼等に感謝しています。そして、たくさんの人たちに・・・謝罪をさせていただきたいと思いました。国外に追放されようがどうしようが構わない。そう覚悟し、ここに謝罪します。 本当に、申しわけありませんでした。」
――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・奈乃香・・・。」 「・・・もしかして、あの時来た警察の女は・・・」
はっとした顔で跡部は考えこんでいた。
「なぁ・・・」 「なんだよ跡部・・・?」 「俺、今からこの会見会場に言ってくる。ちょっと言いたいことがあるんでな。」 「は・・・??」
そういうが早いか跡部は部室を飛び出して行った。
「なんだよ・・・?」
――――――――――――――――――――――――――――――
バンッッッ!!!
会見会場に大きな音が響いた。
「宍戸奈乃香!!!」
「・・・跡部・・・景吾・・・??」
何??なんなの??何でココに跡部景吾が・・・。
「お前が和で、あの時の警察だったなんてな。」
ボソっと奈乃香だけに聞こえるように跡部はつぶやいた。
「ぇ・・・?」
「マスコミの皆さん。初めましての方も多いと思います。先程話しにも出てきました跡部景吾というものです。皆さんにお知らせがあります。私の父親である跡部財閥社長は、自分の罪に追い詰められ、自殺しました。沢山の方に迷惑をかけた事実を、息子である私から謝罪します。申しわけありませんでした。」
ザワザワと騒ぎ始めた会場は、跡部景吾がそれだけを行って出て行ったことで、シンとしていた。
「多少の混乱が存じましたが、私の言いたい事はココまでです。警察の方。私はいつでも逮捕される覚悟を持っています。長くなりましたが、ココまで聞いていただいた皆様、ありがとうございました。以上で会見を終わりたいと思います。」
そういって、奈乃香の人生の終わりを告げる会見が終了した。
****************************************************************************
2日続けてUPするなんて久しぶり・・・? 会見は終了しました。 どういう動きが出てくるか、お楽しみに・・・。
感想&意見お願いします!!!
|
|