「いってきます...。学校、これたら来いよ?」 「うん、ありがと。行ってらっしゃい、亮。」
変な感じがする。いつも亮より先に出たり、一緒に出たり...「行ってらっしゃい」なんて言葉、言う事なかったから...。
「さてと...。」
部屋へ戻って全身鏡の前に腰を下ろした。 ノーメイク、全くのスッピンでも、奈乃香の顔は、誰よりも美しかった。 いや、これが本当の彼女の姿なのだ...。
「久しぶりに...自分の顔見た気がする...。」
鏡に映っている奈乃香は、勿論男なんかじゃなく、警察官でもなく、中学生でもなく、大人とは言いがたい子供とは程遠い...少女でも、女性でもない。 ...昔、知り合いがこれを名づけていたきがする...。確か...
コドナ。
「こどな、か。」
今日はそのままの自分でマスコミの前に出る。 多分、私だと分かる人はごくわずかだろう。まぁ色々証拠を見せるわけだけど...。
Pi.Pi..
「あぁ、もしもし??奈乃香だけど。皆川?どう?準備は上手く行ってる?」 『勿論。すべて順一が手配してくれてるし。』 「順一もいるの??それはそれは...。楽しみにしてるわ。」 『でもいいのね?ホントに。あんたの生命に関わるかもしれないのよ?』 「大丈夫よ。私はそこまでやわじゃない。」 『それもそうね・・・。じゃぁ頑張って。マスコミはかなりの量集まるわよ。』 「いればいるほどいいもの。・・・感謝してるわ、皆川と順一には。」 「順一にも伝えておくわ。それじゃあね。」
Pi・・・
「亮・・・ごめんね、ありがとう。」
そういって、奈乃香は家を出た。
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ザワザワ・・・・・・
「ねぇ、結局今日私たちはなんで集められたの?」 「さぁ・・・なんでもそれぞれの社長とか会長とかが絶対強制で行くように、って言ってたらしいけど・・・」 「マジ意味わかんねぇ・・・俺今日早番だったのによぉ・・・。」 「ぁ。・・・・・・。」 「??なに・・・っぇ!?」
『皆さん、こんにちは。皆川倖です。』
さすが・・・というか。皆川の一言で空気は冷たくなった。 緊張感が走る。 そりゃそうか。世界に通じる大女優が1ヶ月前から失踪してて、こんな何も聞かされてない会見で帰ってきたんだもんなぁ。
「みっ・・・皆川サン!!??今までドコ行ってたんですか!?」 「失踪した理由は!?」
『静かにしてください。私のことを今から喋りますが、こんなことはどうでもいいことなんです。余興のようなものですから。今回の会見の本当の目的は・・・私の友人の事です。この友人の事は、世界が変わってもおかしくないというほどありえないものです。最後までちゃんと聞いて全世界に伝えてください。それでは、今から私についての会見を5分ほどさせていただきます。」
そうして会見は始まった。
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