「あ、和!もう練習終わりだって。」 「そう?練習あんまり出来なかったなぁ...。」 「放課後練習すれば大丈夫だろ。」
さっきの話...。なんか引っかかるんだよね。 どうしてかな?
「はやく部室行こうぜ!」 「あぁ。」
気分が乗らない。なんでだろう。サボるかな?でも、この授業の間も跡部景吾を監視しなきゃいけないし。どうしよう。
「あれ?和サボるの?」 「え?」
さっきから声をかけてくる、楠田っていうやつ。サボるって...なんで?
「だってもう授業始まるぜ?部室もう閉めなきゃダメなんだよな。」 「うそ...。どうしよう...。」 「どうしようって...(苦笑)。でも、お前今日風邪でも引いてるのか?」 「いや...?なんで?」 「だって顔色悪いっつぅか...。調子悪そうだしよ。休んでれば?鍵預けとくぜ。」
顔色が...ねぇ。まぁ考え事してるだけだけどな。
「...ありがとう。じゃぁ休んでいくよ。」 「担任には言っといてやるよ。じゃぁ、安静にしてろよ。」
そう言って、楠田は出て行った。
「仕事失格...って感じだな。」
和はつぶやくとレギュラー用の部室とはかけ離れたようなボロイ造りの部室のベンチに寝転がった。
「あいつ...なんであんな事聞くんだろう。」
和の頭の中には、宍戸亮の顔が浮かんでいた。
『関係ないじゃないか!』
そんな事言われたの、初めてかも...。
ただ、仕事って与えられていたから...。
当たり前の日常だったから...。
「奈乃香ちゃんって子、いるでしょう?」 「えぇ、あの天才少女って言われてる...。」 「すごいわよねぇ...。」
そんな声がずっと私に聞こえていた。
「せんせぇ...?」
幼稚園の先生からも一目おかれて、まるで壊れ物を扱われるような、 大事にされ続けていた。
「奈乃香ちゃん?お母様がお迎えよ?」
今考えると3歳児の園児に言うような言葉ではないよなぁ。
「はい。ありがとうございます、先生。今日もお世話になりました。」 「ぁ...それじゃぁね?」
「奈乃香?今日家に帰ったら大事なお話があるんだけど。」 「大事なお話...?」 「そうよ。」 「...わかりました。」
その話を聞かされたのは、3歳になったばかり、3歳の誕生日のことだった。
「奈乃香?お話っていうのはね?奈乃香にはこれからあるお仕事を一生していって欲しいのよ。」 「お仕事...?」 「そう、その仕事はね、とても大変なことなんだけど、奈乃香は出来るよね?」 「ぇ...?」
お仕事...?それも一生?どういうこと?
「どう?出来ない?」 「...そんな事はありません。」 「そうよね、さっすが奈乃香。じゃぁ説明するわね?」 「はい。」
「これから、毎日のようにいろんなお仕事をしてもらうわ。この仕事っていうのは、依頼が来てからその依頼のとおりにやってもらいたいの。」 「それは...大変なのですか?」 「そうよ。友達は絶対に作ってはいけない。まず第一にコレが条件ね。」 「友達・・・を?」 「簡単でしょう?そのくらい。あなたに友達なんて必要ないの。」
なんでですか?お母さん。。。 私は友達も作れないのですか? なんで私が? 私はまだ3歳なんだよ? いくら天才少女って言われているからって、私には関係ないよ? 友達だってたくさん欲しいよ? そんな仕事・・・
したくない!!!
「ゅ・・・夢?」
気がつくと汗びっしょりで、目を開けると薄汚い天井が見えた。 重い身体を起こすと、そこはテニス部平部員の部室。
「寝ていたのか・・・?」
妙にリアルな夢だった。 これは・・・仕事を初めて与えられた時の自分??
俺・・・こんな事を感じていたのか?
だから亮に言われた後、ずっと引っかかっていたのか?
仕事をしたくないなんて・・・。
そうだ。あの後、初めての仕事をした時から、 自分をちゃんと認めてもらえて、両親にたくさん近づけた気がして、 仕事が大好きになったんだ。
だから今は何も感じないし、親の言ったとおり友達も絶対に作らない。 それが当たり前だから。 友達なんてうわべだけで十分。 上手く作った世界で生きていく。
コレが今の俺のやり方だ。
自分の気分も定まった。 もうこれからは振り回されたりなど絶対にしない。
さぁって・・・
跡部景吾をつぶしに行こう。
ゆっくり攻めるつもりだったけど、どうやら早く攻めた方がいいみたいだ。
亮やテニス部のことなんて、知らないからね。
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主人公怖いなぁ・・・ 主人公の過去話でした。 なんか暗い・・・っ!! 次は少し急展開に・・・!? お楽しみにぃ〜♪♪
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