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堕天使の街 作者:yasu

第27回   27
 俺は立ち上がろうとした大柄な男の顔面に力の限り蹴りを加えた。男がへたり込んだのを確認し、海崎の方へ走った。鳩尾にタックルを加え、海崎をよろめかせた。弦太もどうにか立ち上がり、海崎の肩を掴み倒した。動きを封じるために近くに転がった40Fを手に取り足を狙った。海崎の呻く声が聞こえた。
「大丈夫か」
 俺は梓と玲子の方へ駆け寄り、口に張られたガムテープを剥がし、身体を縛る縄を解いた。
 玲子が俺の身体を掴み放そうとしなかった。思わぬ玲子のリアクションに驚いたが、玲子自信も驚いていた。ふと、梓の方を見た。何も言わずにいた。暫くして、弦太も此方へ歩み寄ってきた。
「無事でよかった」
 弦太が思わず笑顔を見せた。
 海崎は、倒れたまま起き上がれないらしい。これで、終わりだという思いが浮かんできた。
「あぶない」
 突然梓が叫んだ。振り返ると海崎がM36で狙っていた。弾が発射され、弦太の右腕を貫いた。今度は、俺を狙っていた。持っていた40Fを海崎に向けるより先に海崎が床に倒れこんだ。
「油断するな。弦太」
 桑原が立っていた。海崎は、首を撃たれ既に息絶えていた。
「遅いですよ」
 腕を押さえた弦太が言った。出血がひどいため、意識がなくなりかけで言った。


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Novel Editor