賢い者と書いて賢者だが、こんな相手に挑むのが賢いとは思えないかもしれない。とは言えだ、俺はこいつを倒す為に賢者の力を手に入れたんだが・・・奴がポポを狙ってるなんて、ややこしい展開になってきた。まぁ、ここいらでケリもつけなきゃいけないだろうしな。 「大人しく、そのお嬢さんを渡した方が賢いとは思いませんか、賢者殿?」 言われなくとも、そうだろうな。だが・・・ 「あいにくと、こんな優秀なマネージャーを手放す訳にはいかないんでね」 「そうそう、ポポちゃんが居なくなったら賢者なんか続けられないわよねぇ?」 「まったくだ。愚弟子には出来すぎたマネージャーだ」 先輩も師匠も言いたい放題だな。どっちの見方なんだか。 「いいだろう。だが私を倒せる可能性は、そのお嬢さんの命と引き換えになると言ったら?」 なんだって? そんな話は・・・ 「生憎だけど、そうはいかないきませんから」 師匠? 「その為に、彼に賢者の修行もさせたし術も教えた。そしてマフェールの道具も取りに行かせたんですから」 どいう意味だ? 師匠には全部判っていた? っていうか、師匠ならありえない話じゃないしな。だからって掌の上で踊らされているのも面白くない・・・なんて言ってる場合じゃないな。 「天と地の狭間において・・・」 「詠唱が長いと言ったはず!」 「我は招く、蒼き防壁っ!」 師匠?! あんな青い壁を作る術なんて初めてみたぞ? 「ほらほら、愚弟子、私が壁となってる間に唱えてもらわないと困るんだがな」 「言われなくてもやるって・・・天の理、地の運命、その狭間における森羅万象に添いし無双の力よ、今、解き放たれん!」 な、なんだ今の呪文は? って自分で唱えておいてなんだけど・・・。え? マフェールの道具が・・・ 「うわっ」 俺の中に? 俺の・・・力になってくれるってのか・・・ 「ふぅ、こうも簡単に師匠たる私を越えられると嬉しいというよりは、寂しいもんだな。ですが・・・少々時間が掛かるようですね。魔女の力も見せてくださいよ」 「もちろん! でも、あくまでもポポちゃんの為ですからね。でなきゃ、こんな危険なただ働きなんてするもんじゃないんですから」
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『おやおや、隣の坊やか。大きくなったねぇ』 (おじさん?!) ここは・・・俺の育った頃の村? 『あんた、今は懐かしがってる場合じゃないでしょ』 (おばさん?!) 『今、あたしたちはマ、マ、マフィンじゃなくて・・・』 (マフェール?) 『そうそう、そのマフェールとかのお陰で話してんだけどね。あたしたちは、あいつを封じる為の一族だったのさ。だけど、あたしの父さんは力があったんだけど、あたしには才能がなくてねぇ。隔世遺伝ってのかい? でも娘が力に目覚める前にあいつに気づかれちまったのさ』 (それって・・・) ポポって隣の娘・・・って?! なんか憂鬱だなんて言ってられない展開だな
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