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スタート! 作者:綾波 ルナ

第2回   覚めた夢


「〜〜〜〜き!!〜〜〜さき!!海咲!!」



バサッ




気がついたら病院だった。母の声で目が覚め、あたりはしんとしていた。



ガチャッ・・・




「・・・・・・・・・」


「・・・・あゆ???」





幻覚でも見えたのか、ドアのトコロにはあゆの姿があった。
傷も何もない、無傷でとても私を見つめている。
あぁ、やっぱり夢だったんだ。・・・そう思った。




「あゆ・・」




「海咲・・目を覚ましなさい。・・・この方は、あゆちゃんのお姉さんよ」

「え??・・・・」


「初めまして、光野まゆです。あゆがお世話になっていました」
「・・・何で過去形なの?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・ハハハ・・・ハハハハ・・・」


思わず気の弱い笑いをしてしまった。
こんなことがあるのだろうか、私は何を言ってるのだろうか。
私、馬鹿みたい・・・・




ガチャッ


み「・・・翔・・。ねぇ、あゆとてっちゃんは何処??今探しているの・・・」
母「海咲!!」
翔「・・・・・・・・・」
み「何で黙り込むの・・??」
母「海咲〜!!いい加減に目を覚ましなさいッ!!」
翔「〜〜〜〜っっ!!!」


ぐいっ


私は無理矢理ベッドから出され、翔に腕をつかまれ連れて行かれた。



「ねぇ翔・・・何処へ行くの??」
「・・・・・・」



ガチャッ



表札は「光野あゆ/伊鴇鉄次」と書いてあった。私はその部屋に入っていった。



「・・・・あゆだぁ。てっちゃんも居る・・・」



変わり果てた姿だった。白い布を顔にかぶせられて居た。
私は涙が出た・・・もぅ、何も喋れなくなった。口が動かない。



「ぁ・・・・ぇ・・・・・」
「俺が駆けつけたときには救急車に運ばれた時だったんだ・・・」
「・・・ゅ・・っちゃん・・・何で・・・何でよ・・」
「ソレと同時にみさは気絶して病院に運ばれたんだ」
「・・・あゆはね・・・死なないって言ったんだよ。」
「みさ・・・」
「翔は悲しくないのッ??!!あゆはずっと翔を思ってたんだよ!!」
「悲しいよ!!でも一番悲しいのはあゆと鉄!!本人なんだよっ!!!」
「翔・・・・・」
「なんでそんくらいもッお前は分ってやらねぇんだよっ!!悲しいのが自分だけなんて思ってんじゃねぇよ!!」
「・・ゴメンナサイ・・あゆ・・てっちゃん・・ゴメンねぇ〜ッ・・・・!!」



私は泣き叫んだ。翔につい抱きついてしまった・・
あゆが居るに・・私は愚かだ・・・私は一生消えない・・癒えない痛みを背負うことになった・・
だがそんなことより、今は泣きたかった・・




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「あーぁ・・学校行きたいナァ・・・」
「行けばいいジャン。行きたきゃ・・・」
「行けないよぉ・・・行けないってば・・翔こそ、毎日こぅやって私の部屋のドアでこうやってるの疲れるでしょ??」
「それなりにね・・お前が不登校になるのも分るから・・」
「・・・二人ぼっちだねぇ・・私たち。」
「うん・・・・」
「ってか・・もともと私たち二人で・・それからあゆとてっちゃんが入ってきたんだよね」
「バーカ・・俺たちが入れてもらったんだろ」
「ハハハ・・・・」








厳しい現実に私はつぶされた・・私達には、笑顔がなかった。






『幸せの夢』は・・・





覚めてしまった・・・










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Novel Editor by BS CGI Rental
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