何だか最近思うんだ
いけない恋も 悪くないってね
あれから武は俺の前に姿を現さなくなった。 夏乃もそうだと言っていた。
そして、俺達が大阪に戻って1ヶ月程経った頃 ばあちゃんが死んだ。 急な脳梗塞だったそうだ。
だけど生きている。
夏乃の中で生きている。
ばあちゃんの告別式の日 俺と夏乃は海岸に立っていた。
武と美夏に出会った場所。
「ばあちゃん、笑ってたな。」 「うん、すごい優しい笑顔だったね。」 「今頃、武と会ったかなぁ。」 「うん。離れてた分、つもる話があるんじゃない?お互いに。」
空を見上げると、あの日と変わらない青。
15歳の二人が笑っているように見えた。
「夏。」 「なぁに?」
「イトコって結婚できるんだっけ。」
遠い未来を思った。
「できるよ。」
夏が笑った。
あの日聞こえた声は
きっとあいつからの贈り物。
もう2度と 聞くことのできない
「生きろ。」
今も俺の中で
優しく 響いている。
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