ねぇ、教えて
あの日君は何を想って空を見上げたの?
あれから月日は流れて あたし達は高校を卒業し、大学への進路を決めた。
大学二年の夏、あたしは偶然絵里子に会っていろいろと話し込んでしまった。
「佑太とはまだ付き合ってるの?」 「うん。でもなんか会うこと減ったし、不安だな。」 「そっか・・・。まぁ誰にでもあるよ!」 「うん。汀はどうなの?心。」 「えっ?あーうん、順調・・・デス。」
あたしは卒業式の日に心に告白されて 佑太を完全にフっ切った訳じゃなかったけど 正直心に惹かれてた部分があったし、何度か救われてもいた。
でも あの日の佑太の背中を想うと、心がズキズキ痛む。 忘れたわけじゃない。
「じゃああたし行くね!」 「うん。」 「またメールするよ!泊まりに行っていい?絵里子んちデカいからさ!」 「デカくないよ!うん、おいで。」 「ありがとう。じゃあね!」
絵里子に会うと、高校生の頃を思い出して そして佑太を思い出す。 今日の空はあの日と違って灰色の雲が低く浮かんでいた。
ふいを付いて、携帯が鳴った。 心だった。
『今、会える?』
会えない。 会えない。
だってこんな気持ちなんだもん。 今会ったら何を言うか分からない。 ひどいことを言ってしまうかも知れない。 心が傷つくのはイヤだ。 あの人を辛くさせちゃいけない。
『ごめん。今大学の友達といる。またメールするね。』
嘘をついた。 心にだけは絶対嘘つかないって決めたのに 会った後を思うとすごく怖くなった。 結局自分を守ったんだ。
最悪だな、あたし。
少し歩いて駅に向かった。
ホームに降りると懐かしい背中。
あの日と少しも変わらない、愛しい人の後ろ姿。
「汀・・・」
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