background=http://www.rivernet.cool.ne.jp/upmini/200505f/20050527220027_7644.gif ■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

片恋 sadness  作者:比呂

第6回   第五章
30分位経っただろうか。

心は眠いと言って部屋に帰ってしまった。
ロビーのソファに座ってずっと海を眺めていた。
そろそろ行かなきゃヤバいと思い、心を起こして外に出た。
日差しはギンギン暑かった。


「あー!遅せぇぞ!!」
「ごめんごめん。」
「・・・ハルー!ボール飛んでっちゃった!取りに行こう!」
「え?ああ、うん!」

可愛らしい絵里子と幸せそうな佑太。
あたしが入る隙間なんてこれっぽっちもないじゃない。
あんな事あたしに頼まなくても平気だったよ。
なんだか無性にイライラした。


「心、あたし帰るね。」
「え、うん。」
「あ、おーい!汀!てめぇどこ行く気だ!」
佑太が駆け寄ってくる。
「日焼けしたらイヤだから部屋に戻る。
 早く行きなよ!絵里子が待ってるよ。」
「え・・・」
「知ってるんだぞ!絵里子のこと好きだって事くらい!
 ほらほら何してんの!じゃぁね!」


心が痛んだ。
ズキズキ痛んだ。

やっぱり、あたしは弱い。



夕食が終わった時、佑太に呼び出された。

「さっきお前なんか変だったよ。」
「変じゃないよ。」
「俺が絵里子のこと好きだとか言ったり。」
「だってそうじゃん。」
「・・・」
「やっぱそうなんじゃん。」
「俺はなんでさっき変だったか聞いてるんだよ!」
「あたしは別に変じゃないよ!」
「じゃあ何で昼間海に来なかったんだよ。」
「日焼けしたくないからって言ったじゃん。」
「嘘つけ。お前いつもバリバリ焼けてるじゃん。」
「うるさいなぁ!絵里子と2人になれたんだから良かったんじゃないの?!」
「・・・。」
「図星なんだ。笑っちゃうよ。じゃあもう戻るわ。」
「お前は何で?」
「は?」
「何で俺が絵里子を好きだと思うの?」
「・・・見てれば分かる。」
「そんなに分かりやすいかなぁ、俺。」
「絵里子だって気付いてるんじゃない?」
「・・・ったく、損な性格だな。」
「え?」
「いや。何でも。じゃあな。」
「え、うん。おやすみ。」




 あたしはこの時まだ、佑太の言った本当の意味がまだ分からなかった。



  

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections