30分位経っただろうか。
心は眠いと言って部屋に帰ってしまった。 ロビーのソファに座ってずっと海を眺めていた。 そろそろ行かなきゃヤバいと思い、心を起こして外に出た。 日差しはギンギン暑かった。
「あー!遅せぇぞ!!」 「ごめんごめん。」 「・・・ハルー!ボール飛んでっちゃった!取りに行こう!」 「え?ああ、うん!」
可愛らしい絵里子と幸せそうな佑太。 あたしが入る隙間なんてこれっぽっちもないじゃない。 あんな事あたしに頼まなくても平気だったよ。 なんだか無性にイライラした。
「心、あたし帰るね。」 「え、うん。」 「あ、おーい!汀!てめぇどこ行く気だ!」 佑太が駆け寄ってくる。 「日焼けしたらイヤだから部屋に戻る。 早く行きなよ!絵里子が待ってるよ。」 「え・・・」 「知ってるんだぞ!絵里子のこと好きだって事くらい! ほらほら何してんの!じゃぁね!」
心が痛んだ。 ズキズキ痛んだ。
やっぱり、あたしは弱い。
夕食が終わった時、佑太に呼び出された。
「さっきお前なんか変だったよ。」 「変じゃないよ。」 「俺が絵里子のこと好きだとか言ったり。」 「だってそうじゃん。」 「・・・」 「やっぱそうなんじゃん。」 「俺はなんでさっき変だったか聞いてるんだよ!」 「あたしは別に変じゃないよ!」 「じゃあ何で昼間海に来なかったんだよ。」 「日焼けしたくないからって言ったじゃん。」 「嘘つけ。お前いつもバリバリ焼けてるじゃん。」 「うるさいなぁ!絵里子と2人になれたんだから良かったんじゃないの?!」 「・・・。」 「図星なんだ。笑っちゃうよ。じゃあもう戻るわ。」 「お前は何で?」 「は?」 「何で俺が絵里子を好きだと思うの?」 「・・・見てれば分かる。」 「そんなに分かりやすいかなぁ、俺。」 「絵里子だって気付いてるんじゃない?」 「・・・ったく、損な性格だな。」 「え?」 「いや。何でも。じゃあな。」 「え、うん。おやすみ。」
あたしはこの時まだ、佑太の言った本当の意味がまだ分からなかった。
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