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君を忘れた瞬間から 作者:比呂

最終回   I love you
ああ


  僕は ほんとうに幸せだった。



      













時間がとても長く思えた。



6時間目のチャイムが鳴ってSホームルームを終わらせると
僕は足早に教室を出た。
智哉に気付かれないように。



新館の裏には人影はなかった。
夢じゃないかと、もう一度鞄の中にある手紙を読み返した。

夢じゃない。
美砂の字でちゃんと書いてある。


ほっとした瞬間に声を掛けられた。


「侑?」
「あ、うん。」
「来てくれたんだね。」
僕は久しぶりに会話をした美砂を目の前に声が上手く出なくなってしまった。

「東京に行くって本当?」
「・・・うん。前から決めてたことなんだ。」
「本当に行くの?」
「行くよ。」
「どうして・・・・?」

「美砂には、一体どう言ったらいいのか分からないけど


 ただここにいちゃいけない気がしたんだ。

 自分のためにも。」


あの日と同じ様に美砂は下を向いた。
そして言った。



「ねぇ、侑。言ったじゃない?

 僕にはあたしを幸せに出来なかったって。


 違うよ。


 あたし、幸せだった。

 嘘じゃない。 嘘じゃない・・・。」


涙を溜めて僕を見て そして言うんだ。



「ありがとう!

 幸せにしてくれて!

 あたし、一生で一番幸せだったって思う。


 だから今度会うとき、あたしもっと立派になって大人になって


 その時はちゃんと伝えるから・・・!」



美砂の目に 嘘はなかった。





うん。


その時はきっと僕も君に言いたいことがある。



そして また見つけられるかな。



あの木の下で



青い帽子を被って




優しく眠る 君の姿を。







 

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