background=http://www.rivernet.cool.ne.jp/upmini/200505f/20050527220027_7644.gif ■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

君を忘れた瞬間から 作者:比呂

第1回   始まり
ちょっとしたきっかけで僕らは急激に距離が縮んだ。








中学3年生の夏休みのことだった。



僕は受験生ということもあり塾に通い詰めの日々だった。
週に休みは2日しかなく、その日は全く勉強などする気にもなれずただソファに寝転がっていた。

何が理由かは分からないけど、僕はフラっと外へ出て商店街を抜けた所にある原っぱに行った。
夏なだけ非常に暑く、上天気だった。

僕はそこの一番でかい木の下に座り込んでまた眠りについた。




20分位経っただろうか。なんだか隣に気配を感じる。
目を細く開けて横を見た。
すると、真っ青な帽子を深く被って寝ている女の子がいた。
僕はビックリして大声を上げた。
その女の子は、なんだ騒々しいなぁといった表情でこちらを見た。

見覚えのある顔だった。


「片倉くん?」
「あ、はい。って知ってるんですか?」
「あ!ヒドイなぁ!同じ学校だよ。」

少し時間を貰って考えた。するとすぐに浮かんできた。
「早瀬!早瀬美砂か!」
「そうだよ。」
彼女はすこし笑うと言った。

「なんか疲れちゃうよねぇ。なんでこんなに勉強しなきゃいけないんだろうって。
 受験生だからっていいように丸め込まれてる気がしてイヤだな。」

不思議な女だった。
僕と同じ価値観で自分は自分のままで生きたいと願う。
その時だったんだろうか、彼女に好感を持つ自分を認識したのは。

「僕も同じ考えだよ。」

そう呟くと彼女はふっと鼻で笑い、また真っ青な帽子を深く被った。

居心地の良い時間だった。



















仕方のないことだからと
運命に逆らって生きることをやめた僕らは

やっぱり何かを大きく間違えていたのかも知れないね





何が正しかったのか




今でもよく分からないけど


 

次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections