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彼がいた頃 作者:比呂

第7回   第六話
夢の中で笑う
少年時代の若き君が
走り去っていくのを
立ち尽くして見ていた
























「いやだよ、けんちゃん。」








言った後に後悔した。









あたしはいつも、その繰り返しで
全然進歩がなかったよ











けんちゃんが泣いた。

そして、冗談だと言おうとしたあたしを抱きしめた。











なんで


けんちゃんがあたしを抱きしめてるの












これは夢でしょう?













「里沙、好きだよ。

 でも京夏を突き放すことはできない。
 だから卑怯だけど 俺は京夏と付き合う。」




















ねぇ








たとえ嘘でも嬉しかったよ












その場しのぎのごまかしだったとしても









あたし嬉しかったよ
















「けんちゃん、京夏をよろしくね。」



















夏の太陽があたしの頬をかすめる。




けんちゃんの手を離れて










2人のいない場所を探した












 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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