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彼がいた頃 作者:比呂

第14回   最終話
ねえ




もう忘れるべきかもしれない









分かってるのになあ





















君以外を愛せる自信がないんだ




































「・・けんちゃ・・」





すぐに救急車が来て、あたしと京夏も一緒に乗った。



ただじっとけんちゃんを見つめるあたしに京夏は言った。











「里沙のせいじゃないよ。」








心なしか、京夏のその声に安心感を覚えて
あたしはまた泣きたくなってしまった。















病院に着くとすぐに集中治療室に入れられた。


あたしと京夏とけんちゃんのご両親は
ただっぴろいロビーに置かれたソファに腰を下ろして





必死に 彼の無事を祈り続けた。







隣で京夏が言った。












「里沙、ごめんね。
健悟の気持ちにあたしは気づいていないフリをしたの。
全部全部、あたしが悪い」













そう言って責める京夏をあたしは抱きしめて

誰かが悪いわけじゃないと 背中をさすった









京夏もたくさん苦しんで



けんちゃんもたくさん苦しんで




あたしもいっぱい苦しんだ。










だから







誰かが悪いわけじゃない










みんな若かったんだもの
































手術中のランプが消えた。











みんながソファから立ち上がる。














出てきた医者は 首を横に振った。


















 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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