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彼がいた頃 作者:比呂

第13回   第十二話
「・・・けんちゃん。」












世界が終わったように思った








京夏がけんちゃんの名前を泣き叫ぶ。













あたしの手を持ったまま、倒れている



君の雨に濡れた まだ暖かい手のひらの温もりが





少しずつ冷たくなっていくのを感じて
 

あたしは全てを失った空虚感でいっぱいになったんだ














「里沙 好きだよ」



雑踏に紛れて聞こえた小さな声。




あたしを幸せにしてくれるただ一つの言葉。









































繰り返す









消えそうな声が










雑踏に混じって











聞こえなくなった



















         
               
              
              
              
              
               
             
                     


 

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