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5丁目5番地 秘密基地 作者:比呂

第8回   翔平
この街の夕日は変わらない









あの頃から









ずっと


























佳代が水澤に告白されたと知った日
俺は何故だか分からないけどむしゃくしゃした。
大切な幼なじみを取られたくなかったのか

それとも 佳代を好きだからなのか・・・






広も同じように気分が沈んでいた。
きっと広は佳代のことが好きなのに意地っ張りだから何も言わない。


「広、ちょっと来い。」

俺は広を手招きして呼んだ。

「なに?」
「お前佳代のこと好きなんだろ!」
「・・・違うよ。」

「・・・お前がずっとこんな風にはぐらかすんなら
 佳代は俺がもらう。」


自分でも何を言ったのか。
あとで考えるとすごいことを言ってしまったみたいだ。


「翔平、お前・・・。」

もう後には引けなかった。

「そうだよ。
 なぁ広。お前は佳代のこと好きじゃないんだろ?
 じゃあいいんだな。」
「勝手にしなよ。」


いつまでもこんな態度でいる広に苛ついた。


振り返って佳代の方へ走ると、佳代は難しい顔をして黙っていた。

「どした?」
「え?ううん。帰ろうか。」

佳代の様子は明らかにおかしくて気になった。






きっと俺は佳代が好きなんだろう。


でもちょっと前まで南のこと好きなはずだったのに

恋ってわかんねぇなぁ。






帰り道に、会話はなかった。


家の前まで来て、広が静かに言った。

「じゃあな。」




























この時のお前の声がいつになっても忘れられない。



悲しそうに呟いた。





なぁ



お前はあの時 何を思ったの?





























あの頃から何も変わらない街並みを見て


俺は少し寂しくなった

















俺達はどうして変わってしまうのだろうか。































 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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