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5丁目5番地 秘密基地 作者:比呂

第11回   佳代
ほんとの気持ちは





ずっと前から決まってた














君に 向かってた
























話がある、と広を呼びだしたはいいけれど
何から話せばいいのか分からなかったし、
どうやって導き出した結論に達しようかも分からなかった。

だけどもう 逃げ隠れは出来なかった。






放課後、広の家に学校直で行った。

「おじゃまします。」
「いーよ。上行ってて。」

階段を上がって二つ目の左側が広の部屋。
ドアを開けると、昔置いてあったオモチャ箱はもうなくて
代わりに、ベットと机とテレビだけが無造作に置いてあった。



「オモチャ捨てたの?」

「え?ああ、なんかイトコが欲しいって言ってさ。」
「赤ちゃん、生まれたんだっけ?」
「そうそう。」

そのあと、沈黙が続いて破ったのは広だった。


「話って?」

「あーそれね!うん、話すよ。」

もう頭がこんがらがって何を言えばいいのか・・・。

だけど思い立った言葉を並べてでも今は言わなければいけないと思った。





「あたしね!分かったことがあって!

 きっとそれは、あたしにとって広がどういう存在かとかそういうことで、


 上手く言えないけど、これからも一緒にいて欲しいなぁと・・・。」




悔しかった。
自分がこんなに言葉音痴だとは思わなかったから。


頭を抱えているあたしを
真っ直ぐな目で見つめて、広が言った。





「いーよ。


 俺も気づいたから。



 お前のことが好きだって。」





16年分の2人の想いが今溢れて

まだ大人になりきれていないあたし達は

受け止めるだけで精一杯だった。



だけど



今までにない幸せで







あたしは満たされた。































海で溺れたあたしの名前を必死で呼んだのは




広だったんじゃないかって





あたしは今でも勝手にそう信じ込んでる。






















 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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