夢とはなにか・・・
考えても 答えは出ない
少しづつ、症状が目立ち始めた。 時々めまいがしたり、息がしにくくなったり、悪いときは倒れることも少なくはなかった。 週一回のペースで病院に行く。 時々泉も一緒に来てくれる。 友達が居ると安心するけど、それ以上に嫌悪の思いが強かった。 薬は飲み薬と、安定剤が出された。 あたしは、そんなに興奮することもなかったし 落ちついていられないということも無かった。 何故安定剤が要るんですか?と訊くと、医者は 「あくまでも気休めです。いつも持っているとほとんどの患者は安心するんですよ。」 と言った。
その日の帰りは曇り空で、パーカー一枚だと寒気がした。 家の前には勝太が立っていて、手を息で暖めていた。
「おお、おけぇり。ちょっと、来いや。」
「どこ行くん。寒いから早めにしてな。」
「・・・そんなに時間がかかる事じゃない・・・。」 「ふ〜ん。そんでどこ?」 「河原や。」 「あ〜、あそこめっさ寒いやんか!行きとうないわ〜。」 「つべこべ言わんで付いてこいや。」 「はぁ〜?」 「ほな、走んで。」
勝太は走り出した。 あたしも、元々運動神経はそこまで悪い方ではなかったので付いていった。 だけど、そこで症状が出始めた。 すぐに息が上がってしまう。
もう前と同じあたしじゃない
3年前のあたしや。
立ち止まると、勝太は気付いて戻ってきた。
「どした?!苦しいか?!もう少しやから歩こうか。」
「ああ。」
吸い込む空気に対してはく空気の方が多かったのか、過呼吸みたいになった。 でも本当の過呼吸とは違ったのでそのまま歩いた。
河原は草がキレイに整備されとって、ゴミ一つ見当たらなかった。 そこに寝ころんで、勝太が言った。
「ようココも来たなぁ。昔は・・・。」
「うん。」
「ぜんぜん変わらんなぁ。・・・お前いつもここ来てたやろ?見えとったぞ。」
「ああ、うん。それは、ちょっとね。」
微笑むと勝太も微笑んだ。
「沢本になぁ、昨日告白されたんや。どう思う?」
あたしの表情が少し変わったのはきっと、勝太も、あたしも、気付いていたと思う。
「別に。いいやないか。泉はイイ子っちゃで。」
「それはよう知っとるわ。」
「じゃあいいやん。あんたが早く返事してくれの待ってんで、泉。」
勝太は何も言わなかった。
これで良かったんだ。 あたしはちゃんと頑張った。 怒ることも、笑うことも、泣くのさえも、我慢なんかいくらでも出来る。
我慢強いのが、あたしの取り柄や。
あたしは深い息を吐き、立ち上がった。
その後、倒れたことはまでは覚えているんだけど。
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