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忘れられない人がいます 作者:比呂

第8回   キス
中学2年生の夏、野球部だった僕は新人戦という大きな大会で負けた。

みんな泣いていた。



僕は我慢した。

キャプテンだから。






そんな時、そっと手を差し伸べてくれた人が居た。






五月だった。





五月「櫂君。次があるよ。」

櫂「五月・・・。」


五月「泣いたって良いんだよ。」


そう言われた瞬間必死で押さえた泪が一気に溢れた。



ああ、僕は五月の前だと全開なんだ。




泣けてしまうんだ。









櫂「負けたくなかったよ・・・。」

五月「分かってる。」

櫂「俺は、キャプテンで絶対勝つって言ったのに・・・。」

五月「うん。」

櫂「あと少しだったんだよ。」

五月「うんうん。」




抱きしめてくれた。    僕が泣き止むまでずっと。






櫂「ごめん、五月。」

五月「いいよ。櫂君が泣きたいときは私が絶対傍に行くから。」


櫂「ありがとう・・・。」







キスをした。




初めてのキス。





甘かった。 五月は真っ赤になって笑っていた。






























そんな事を思いだしているうちにその曲はもう終わっていた。



また泣いてしまった。











五月はうそつきだよ








だって言ったじゃん






泣きたくなったら傍に行くって






ねぇ





五月






お願いだから











もう一度僕の手を握ってくれないか









 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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