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忘れられない人がいます 作者:比呂

第3回   僕らが出会った日
2年前  冬





櫂「うわっ!!」

夏樹「ダセー!転んでやんのー!」

櫂「だってー・・・。」

宏海「もー前見て歩きなよ!」

櫂「ここが氷だとは例えスーパーサイヤ人でも察知出来ない。」

宏海「屁理屈言うな。」

櫂「むぅ。」





その直後だった。




ズテッ





「だっさーい!五月何してんのー!!」

「ヘヘっ。」

「へへっじゃないでしょ!ほら、掴まりなぁ。」

「ありがと。」




僕が転んだ場所で
また誰かが転んだ。




ホラ、見ろ宏海。
誰だって転ぶだろ?


そんな目で宏海を見た。
宏海もこっちをみて片眉を下げて少し笑っていた。




五月と呼ばれたその女の子に
僕は少し親近感が湧いた。



そしてその子も僕を見ていた。



目があった瞬間に何だか可笑しくなっちゃって
二人して笑ったね。


今も覚えてるよ。






夏樹「お前みたいなやつがいるなんてなぁ。」


教室に着くと真っ先に夏樹が言った。


櫂「うん、俺も思った。笑っちゃったよ!」

宏海「確かあの子F組の木村五月ちゃんだよ。」

櫂「そういえば五月って呼ばれてたかも。」

宏海「櫂以外にドジな人なんていたんだねー。」

夏樹「同感同感。」

櫂「むぅ。」




一限目が終わるとすぐに教室を出て
2階のF組に行った。


さっきはとっさのことであまり顔を見なかったから。



どの子かなぁ。



夏樹「あれじゃね?」

宏海「あれあれ!」


櫂「いかにもドジっ面してんなぁ。」


夏・宏「お前に言われたくないと思うけどね。」





「五月!あの男の子さっき転んだ人じゃない?!五月の前に!」

五月「あぁ、ホントだ!」

「B組の笹川君だよねぇ。」


五月「笹川君かぁ。」




櫂「木村五月かぁ。」








窓辺に背もたれて、数人の女子と楽しそうに笑っていて
時折見えなくなりそうなくらい小さくて
そんな君を僕はまだ覚えている。

 
 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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