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忘れられない人がいます 作者:比呂

第11回   エピローグ  初恋〜15歳の木村五月へ

五月が死んで、もうそろそろ10年が経ちます。


宏海は卒業後、隣町の進学校へ進み
今は大学を出て司法事務所で働いている。



夏樹は県立の高校へ進み
大学でサーフィンを習い、今は沖縄でトレーナーとして頑張っているそうだ。





僕は、あのショックからどうにか立ち直り
野球の推薦で私立の高校へ進んだ。

甲子園にだって行った。


今は大手電気会社のシャ○プで
正社員として働いている。




みんなそれぞれ自分の決めた道を走っている。




だけど


少しも忘れていない。



木村五月が生きたこと。



ここにいたことを。







「笹川〜、お前初恋の人って覚えてる?」

「・・・はい、覚えてます。」

「いつ?」

「中学2年生の時です。」

「ふーん。もう11年も前じゃんか!よく覚えてるね。」

「・・・忘れられません。一生。」

「ほー。何か想い出あるんだ。」

「・・・・10年前、死んでしまったんです。その子。」

「え?あー、ごめんな。いらん事言わせて・・・。」

「平気です。」

「よくあるよなー。出会わなかった方が・・・ってやつ。」


「いや。12年前、僕らの出会いはやっぱり必要だったと思う。」


「そんな風に言えるのはスゴいことだよ。」


「すごくなんかないです。

 死ぬ直前彼女が言ったんです。


 出会えて良かった。幸せだった、って。」



「お前一生忘れんなよ、その初恋。」




「はい。」












ねぇ僕は頑張って生きているよ。



君が残していったあの手紙もCDもまだ大事に持っている。






幸せです。











あの冬、全てが始まった



転んだ瞬間

笑い合った瞬間


全てを愛おしく、懐かしく思う





また会えたらいいね




その時が来るのを僕はずっと待っています。







  15歳の木村五月へ







 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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