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例えばいつか君を忘れたとして 作者:比呂

第11回   運命
10月の寒い日に、兼太の葬儀が行われた。




たった16年生きた人が




こんなにも人を惑わせるのか







参列者は寺院の前の道をふさぐほどだった。










写真の中の兼太は笑っていて







兼太が死ぬ前の日の彼とはまた違う笑顔だった。












そう、あれは悟った笑顔。













自分の運命を






自分で理解した人が見せる表情。






























「美沙、平気?」

「平気だよ。」

「良かった。今日は家来る?何でも聞くよ」

「ううん。平気。ありがとう、夏波・・」

「いつでも頼ってね!」






私には










こんなにもたくさん友達がいるのに
















兼太は






ひとりぼっちで









どこか遠い場所に行くの






























まだたったの16歳で







未来さえ輝いていた彼が背負った運命は










あまりにも残酷すぎて



























ただずっと













写真の中の彼を見つめていた




 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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