10月の寒い日に、兼太の葬儀が行われた。
たった16年生きた人が
こんなにも人を惑わせるのか
参列者は寺院の前の道をふさぐほどだった。
写真の中の兼太は笑っていて
兼太が死ぬ前の日の彼とはまた違う笑顔だった。
そう、あれは悟った笑顔。
自分の運命を
自分で理解した人が見せる表情。
「美沙、平気?」
「平気だよ。」
「良かった。今日は家来る?何でも聞くよ」
「ううん。平気。ありがとう、夏波・・」
「いつでも頼ってね!」
私には
こんなにもたくさん友達がいるのに
兼太は
ひとりぼっちで
どこか遠い場所に行くの
まだたったの16歳で
未来さえ輝いていた彼が背負った運命は
あまりにも残酷すぎて
ただずっと
写真の中の彼を見つめていた
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