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刹那遊戯 作者:妖華

第9回   第九章  過去遊戯
第九章  過去遊戯

 ソレは、遊が4歳の頃の記憶。
「遊、もう寝なさいね。また、あの話しをしなきゃね」
 遊が、小さな子供部屋にて、本を読んでいたら、母の初未が声をかけてきた。
「またー?もう良いよ。僕、もう憶えてるし」
「ずっと、ずーっと忘れないようにしなきゃいけいないのよ。さぁ、早くベッドへ行って」
 そう言われると、遊は読んでいた本を渋々床に置いて、ノロノロとベッドへと向かって歩いた。そうして、ベッドに潜り込む。
「じゃぁ始めるわね」
 初未は、遊が読んでいた本を本棚に戻し、その本棚からもう一冊の本を取り出した。その本の題名は英語で『Guardman』と書いてあった。しかも、その本の表紙が、なんとも言えず恐ろしいのだ。
 身体が異常に大きく、鋭い爪に、ギョロギョロした眼。背景は、闇を思わせる真っ暗な背景。
「・・・昔々、ソレは凡そ1000年前の事。一つの町に、一人の男が住んでいました。その男は、一つの家で、ある実験をしていました・・・」
 その話しは、10分もかかって読み終わった。読み終わる頃には、遊はとっくに鼾をたてて寝ていた。
「・・・仕方の無い子。知らないと、彼方が大きくなった頃、大変なのに・・・」
初未は、『Guardman』の本をベッドの上に置くと、隣の寝室へと向かっていった。
「・・・ああ、ウザイ」
 遊は、ゆっくりと身体を起こす。狸寝入りをしていた訳だった。聞きたくない、あの話し。まだ幼い遊にとっては、残酷な内容であった。
 そんな話しを聞いてる所為か、遊の口調は悪くなっていく一方であった。
「・・・『Guardman』・・・」
 遊は、ベッドの上に置いてある本を手に取ると、バサッと床に投げつけた。開かれたページは、大きな男が門に封印されるシーンだった。
「いっつも雑に開くとこのページが開かれるんだよなー・・・。何なんだよ。このページは」
「遊?起きてるの?」
「ヤベッ」
 遊は、初未の声が聞こえたので、ベッドに素早く潜り込んで、また狸寝入りを始めた。
「・・・あら・・・?今声が・・・ぁ」
 床に投げ飛ばされている本を見つけた初未は、その開かれたページを見下ろす。
「やっぱり。この子には、コレに関係があるのね・・・」
 そっと、本を拾い上げて本棚に戻す。そしてまた部屋を後にした。
「関係・・・?こんなのと関係あんの・・・僕」
 そして今に遡る―。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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