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推理小説殺人事件<改> 作者:幻柳院乖魄

第5回   誰が殺したか
 佐橋宗春が鑑識課員から聴いたところによると、讃良亮介の死因はショック性による心不全のようなものではないかとのことだった。持病の心疾患が殴られたショックで急変した可能性が高いという。
 即死したわけではなく、しばらくは生きていたことがこれではっきりした。
 二人が捜査員の往来の少ない通路に入った頃、地取りを終えた捜査員が戻ってきた。彼らの報告によると、推測される事件発生時刻の前後、怪しい車や人物を目撃したものはおらず、讃良邸が契約しているセキュリティ会社でも侵入者は感知されていないという。こちら側でセンサーを解除していない限り、正面玄関や裏口からは勿論、窓から何者かが逃げ出したということはないらしい。
 また、被害者の讃良亮介は外出が多いらしく、昨日も歩いて10分程度の場所にあるコンビニまで大判の封筒を片手に散歩していた姿が目撃されている。その日の夜も、行きつけのクラブで讃良亮介の姿を目撃したという証言を得ることが出来た。
 部屋は荒らされていない。というよりも、現場となった讃良亮介の書斎には金目の物がない。他の部屋も侵入された形跡すらない。
 つまり、ここにいる誰かが殺したという要素しか残っていない。
 それは望月壮太郎が、大方想像していたことだった。助けを求めずにダイイング・メッセージを残すということは、助けを呼びたくても呼べなかったということだ。
 事件発生時、讃良邸にいたのは5人。
 ――讃良徳子。
 讃良亮介の妻で、元は雑誌編集長という経歴を持っている。彼らの間には既に夫婦としての機能は果たしておらず、讃良亮介が死んだことに対しても表情を崩さなかった。アリバイについては何も語ろうとはしなかった。
 ――塚島佐江。
 讃良徳子の友人で、私立の光陽短期大学にて英文学の教鞭を執っている。讃良亮介とは何らつながりもなく、徳子とは長い付き合いでありながら被害者とは面識がなかった。事件当時は徳子の部屋にいたと証言している。一方的に言い終えると足早に立ち去ったそうで、徳子の部屋にいたと証言したが『讃良徳子と一緒にいた』とは言わなかったことに佐橋宗春は違和感を憶えたという。
 ――大谷省吾。
 有限会社大谷園芸の社長で、讃良邸の庭整備を請け負っている。定期整備のために訪れており、正面玄関を見渡せたため、侵入者がいなかったという有力な証人となった。讃良亮介とは特段のトラブルはなかったが、トラックの停め場所を門の中か外かで言い合いになったことがあるという。
 ――葛西篤美。
 光陽短期大学の二回生で、讃良亮介のファンであるのを契機に塚島に紹介され、部屋の掃除を主とした家政婦のアルバイトとして雇われている。讃良亮介にとって仕事の段取りや要領が悪いらしく、自室の立ち入りを禁じられたことがある。最近になって、小説の仕事を手伝わせて貰っているという。事件当時は讃良徳子が命じた客室の清掃をしていたらしい。
 ――辻田義人。
 詠文社の讃良亮介担当の編集者で、遺体の第一発見者。被害者とは学生時代に、讃良亮介を学園祭での講演依頼をしてからの長い付き合いを持つ。讃良亮介とは昨夜も一緒に飲み明かす間柄であり、仕事中であろうと書斎への立ち入りが自由に許されているらしい。讃良亮介について知り尽くし、まさに公私ともに讃良亮介とあるようだ。事件当時は讃良徳子が来客中だったので、ウェイティングルームで待機していたようだ。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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